輝きつづける明日へ 常陸太田市議会議員 平山晶邦(ひらやま まさくに)

平成21年3月定例議会 一般質問

  1. 今後の公共交通のあり方と対応について
  2. IT情報化対策について

一般質問内容

平山晶邦:平山晶邦であります。議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。

今、時代は戦後最大の経済危機を迎え、企業の生産活動を反映する鉱工業生産指数も歴史的な急落が続き、失業率も今年は現在の4%から6%台に上昇すると言われています。金融危機に端を発した経済危機が実体経済に襲いかかり、今まで日本経済を引っ張ってきた輸出産業は、軒並み減収減益になり、それに付随して大企業の下請である中小企業の経営を圧迫しています。常陸太田市は大企業がないため、まだ、直接的な影響が見えづらい状況にありますが、必ずやさまざまな点で今後影響があらわれてくるでありましょう。本市においても、実体経済の悪化が進むことによって、私たちが想像もできない状況があらわれるかもしれません。

また、3月議会は21年度予算を審議する議会でありますので、21年度予算について述べさせていただきたいと思います。

常陸太田市の21年度予算は、一般会計228億 9,600万円、特別会計166億 3,200万円、合計で389億 2,800万円が計上されました。これを単純に人口5万 7,500人で割ると、本市は、1人当たりの一般会計予算は39万 8,000円の予算になり、特別会計と合わせた1人当たりの予算は67万 6,000円であります。この予算を隣の那珂市と比較すると、那珂市は人口5万 6,300人で一般会計167億 8,000万円、特別会計119億 5,200万円、合計で287億 3,200万円であります。これは、一般会計1人当たり29万 8,000円、特別会計と合わせた1人当たりの予算は51万円であります。

常陸太田市は、那珂市より一般会計で60億円強、特別会計で40億円強多く予算が計上できております。これを市民1人当たりに比較すると、常陸太田市は、1人当たりの一般会計、特別会計を合わせた予算で、那珂市より率にして132%、16万 6,000円恵まれた予算規模になっています。市民の皆様にご理解いただきたい数字だと思っています。

本市と那珂市は人口比で約 1,000人の差であるけれども、予算は100億円以上多く計上した予算になっているのです。逆に、厳しい見方をすると、本市は地方交付税や国・県からの補助金等の見直しが出てきた場合は、大変厳しい状況になっていくのかと思います。現在の恵まれた状況に甘えることなく、予算の進行、進捗については、厳しい視点での進行管理が必要だと考えています。

前段、以上のことを申し上げ、質問に入ります。私は2点ほど質問をさせていただきます。

1. 今後の公共交通のあり方と対応について

1点目の質問は、今後の公共交通のあり方についてお伺いをいたします。

ご存じのように、常陸太田市は少子・高齢化が県内においても急速に進んでいる地域であります。そして、面積は県内一大きな面積を持ち、行政効率が非常に悪い地域であると言わざるを得ません。また、急速な人口減少は、地域の活性化を阻害し、地域に住む人々に大きな不安を与えています。

20年度を見ますと、出生数が262人、亡くなられた方は730人、転出者は 1,608人、転入者は1,177人であり,これらの結果、常陸太田市から1年間に899人の人口減少がありました。この人口減少はすごく深刻に考えなければならない問題であります。そして、人口減少はもっと勢いを増し、進行していくだろうと考えます。

2月1日現在の常陸太田市の常住人口は5万 7,516人だそうでありますが、この勢いの人口減少が続けば、そう遠くない時期に4万人台の市になっていくはずであります。

また、出生数を地区別に見ると、20年度は、常陸太田地区218人、金砂郷地区18人、水府地区で12人、里美地区で14人の数であります。これでは未来の常陸太田市の地域を保全できるとは思いません。大変心配な状況を迎えます。行政の仕組みも構造改革が迫られると考えます。

公共交通のあり方の質問で、なぜ前段で人口問題のことを申し上げるかと言いますと、人口減少による地域の活性化が失われたときに重要な要素になってくるのが公共交通のあり方だと思っています。市民のアンケートでは、「常陸太田市が重点的に推進すべきものは何だと思いますか」の問いに、一般の方も若い中高生の方も、順位の中で2番目に公共交通機関の整備を挙げています。市民も感じているように、地域の活性化対策やまちづくりを考える中で、公共交通機関の整備が重要なファクターであることは事実であります。全国的に見ても、公共交通機関のあり方は、大変難しい状況であることは理解をしています。しかし、私は、ある程度のコストをかけても、全国に先駆けた公共交通機関の整備を行っていく必要があると考えます。

本市は、路線バス維持補助として、茨城交通株式会社に18系統、日立電鉄交通サービス株式会社1系統を行っています。この18系統を担っている茨城交通が福島交通などを傘下に持つ株式会社経営共創基盤に7月から経営が変わります。経営共創基盤がどのような路線バス運行をするのかはわかりませんが、常識的に考えて経営を主体とした運行形態になっていくものと予想されます。

また、市民バスと乗り合いタクシーの運行はどのような状況になっているのか。本格的なデマンド交通システム等についての考えを持ち得ているのか。また、今後それらを融合させ、発展させた常陸太田市に合った公共交通体系をどう考えているのかをお伺いしたいわけであります。

また、水郡線については、現在、常陸太田駅の1日の乗降者数は約 2,600人弱と聞いておりますが、通勤・通学者は往復でカウントされますので、1日に約 1,300人の方々の利用があるわけですが、先ほど申し上げた人口減少の問題を考えると、水郡線の今後の活用についてどのように考えておられるのかについてもお聞きしたいわけであります。

駅舎やバスターミナルは整備したけれども太田線が廃線になってしまったとか、バスターミナルにバスがないなどということがないような施策をJR東日本やバス運行管理者と一緒になって検討をしていかなければならないと考えますがいかがでしょうか。お伺いをいたします。

2. IT情報化対策について

2点目として、今後のIT情報化対策についてお伺いをいたします。

本市においても情報システムの整備は一定程度進んでいると思います。平成20年6月に作成した常陸太田市第2次情報化計画は、大変よくできた計画であると考えています。そして、今の情報システムは、住民の問い合わせに迅速に対応するシステムでなければならないし、住民の利便性の向上や役所の内部業務の効率化などに,きめ細かに対応できるシステムが求められています。本市の第2次情報化計画は、それらに対応した戦略書であると思います。私は、ぜひこの実現をしていただきたいと思っています。この計画が絵にかいたもちでは困るわけであります。この計画を職員が共有して、担当課になっているポジションの方は真剣に検討を進めていただきたいと思います。

そしてまた、20年から24年までの5カ年計画でありますが、これらを実行に移す予算の裏付けも必要ではないかと考えています。自治体に提出する申請・届け出の手続をオンライン化して、自宅や会社からでも行える電子申請システムの整備や、インターネットを通じて税金や公共料金の電子決済インフラのマルチペイメントネットワークの活用、法人市民税、固定資産税を電子申告で行う電算システムなど、面積が広い本市においては取り組まなければならない重要な対策だと考えます。今後のIT情報化対策についてお伺いをいたします。

私は、今回の質問を考えたとき、大変重要だけれどもすぐ結論が出るテーマではないなという思いは持っています。公共交通機関の整備とIT情報化対策は、人口減少が続き、茨城県一広い面積を持つ常陸太田市にとって、実践しなければならない課題だと強く思っています。ぜひ、21年度を通じてその実行するすべを検討していただきたいと思っていることをお伝えし、1回目の質問といたします。

資料写真:市議会定例議会での質問の様子
資料写真:市議会定例議会での質問の様子

執行部からの答弁

議長:答弁を求めます。政策企画部長。

政策企画部長:初めに、市内の今後の公共交通のあり方についてのご質問にお答えをいたします。

本市のように広い面積を有する中で、それぞれの地域の活性化やまちづくりを進めていくには、議員のご発言にもございましたように、地域をつなぐ公共交通が重要な要素になってくるものと考えております。本市におきましては、平成18年5月に常陸太田市地域公共交通会議の設置をし、平成19年3月に地域公共交通計画を策定いたしました。この中で、路線バスにつきましては基幹交通と位置付け、存続の必要なものについては財政支援を行い、維持することとしております。また、これを補完するものとしまして、路線バスの運行が困難な地域や日中の路線バスのダイヤが少ない時間帯に市民バスを、そして、幹線道路から離れた地域など、路線バスや市民バスの運行ができない地域への対応のため、予約型乗り合いタクシーの運行をすることとしております。現在は、これらの計画に基づきまして、市民バスと予約型乗り合いタクシーを運行しているところでございます。

運行に当たりましては、それぞれ検証をしながら見直しを行っているところでございますが、デマンド交通システムなど、新しい交通システムについても各市で動きが出始めております。今後本市としましても、総合的な公共交通システムの研究・検討を行ってまいりたいと考えております。

JR水郡線についてでございますが、本市と那珂市、水戸市を結ぶ重要な鉄道であり、また、市のイメージ、町の活性化とあわせまして、通勤・通学の手段として欠かすことのできないものとなっております。

このようなことから、茨城県及び沿線市町により設置をしております水郡線利用促進会議におきまして、JR東日本の水戸支社及び東京本社に対しまして、運行本数や車両数の増などの輸送力の改善、スピードアップ、常磐線との接続の改善について要望活動を実施しております。

また、茨城県沿線市町、JR水戸支社、バス事業者、観光協会等をメンバーとします水郡線活性化対策研究会におきまして、水郡線活性化対策等の検討を行っているところでございます。

本市独自の活動といたしましても、沿線住民など地域の皆様とも連携し、利用促進を図ってまいる考えでございます。

次に、今後のIT情報化対策についてのご質問にお答えをいたします。

本市の情報化につきましては、インターネットを中心とする情報通信技術が急速に進展する中で、平成14年に第1次の情報化計画を策定し、ITを活用した市民サービスの向上と行政事務の効率化・高度化を推進してまいりました。そして、昨年6月に、市民一人ひとりが情報化の恩恵を享受でき、安全で安心して快適に暮らすことのできる社会の実現、これらを目標とする本市の今後5年間の情報化施策の方向性を示す第2次情報化計画を策定したところでございます。

この計画におきまして、快適な生活の実現、安全・安心な生活の実現、活力のある町の実現、市民サービスの向上、行政の簡素効率化、この5つを重点施策と位置付けまして、市民の情報格差の是正や、ITを活用した市民サービス向上など、20の施策を推進することとしております。

特に、本市は県内一広い面積を有しますことから、市民サービスの向上の観点からは、ITを活用した電子申請システムの整備・拡充に努めますとともに、マルチペイメントの導入に向けた検討、電子申告の計画的な導入の検討など具体的な取り組みを始めているところでございます。

今後、第2次情報化計画の目標を実現していくためには、PDCAのサイクルを生かしていく必要があると考えておりますので、庁内の関係課各課長で構成します情報化推進委員会において、定期的に各施策の進行状況を評価するとともに、各課等に推進委員を配置しまして計画を推進するなど、情報の担当課であります情報政策課が中心となりまして、計画の進行・管理に努めて第2次情報化計画の目標実現に取り組んでまいる考えでございます。

以上でございます。

2回目の質問

議長:平山晶邦君。

平山晶邦:2回目の質問をいたします。

1. 今後の公共交通のあり方と対応について

先ほど、公共交通機関の会議があるという中で、そのような計画を私も存じ上げております。しかし、私はそれが融合的に一体化した形になっていないという感じがして、どうしてもならないんです。

例えば皆さん、常陸太田市を観光しようと、例えば新しくなった常陸太田駅に着きました。その前にはバスターミナルもきっとできています。しかし、竜神峡へ行こうと思い時刻表を見ると、竜神峡へ行くバスがない、公共交通機関がない、そういうイメージを思い浮かべてみてください。そのようなイメージであった場合、私は常陸太田市が人にとって優しい町と言えないんではないかと思っています。

また、山間地域に住んでいる老婦人から言われたことを申し上げます。「平山さん、息子はたまの日曜日に家に帰ってきてくれる。そして、買い物には私を連れていってくれる。しかし、日曜日、郵便局は休みだ、医者も休みだ。平山さん、私たちが困るのは、平日に出かけられる足の確保なんだよ。バスは通しておいてくれよ。」と言われました。1点目の公共交通機関のあり方でありますが、この問題を考えるとき、行政の縦割りの考え方だけではいけないと考えます。

私は前段で人口の減少について申し上げましたが、今後、人口減少に伴ってさまざまな問題が起こってきます。それを市として公共交通機関とどのようにリンクして総合的に問題に対応していくのかが大切であると考えます。

公共交通機関がまちづくりや地域活性化対応にどのようにかかわっていくのか。高齢者対策について、福祉事業について、学校の統廃合について、観光事業についてはどのようにかかわっていくのかが大切なことであります。常陸太田市が現在取り組んでいるスクールバスの運行、福祉バス、患者輸送バス、幼稚園や保育所の通学バスの運行、乗り合いタクシーの運行、路線バスの維持等、これらはすべて公共交通と言えます。現在は、それが部門部門によって運営されています。また、これから太田駅を核にした公共交通機関のあり方も考えなければならないと思うし、その他にも考えなくてはいけない多くの対応があるかもしれません。

私は、これらを実行するには、行政縦割り部門を加えた総合的に統一した計画と実行が必要だと考えます。高齢者や障害者や子どもなど弱者に配慮した公共交通機関の総合計画を作り、市民にこれから常陸太田市が考える公共交通機関のあり方はこうなるよという安心した将来像を示し、それらをもとにして整備を行っていかなければならないと強く思っています。

私は、この質問に対しては、改めて常陸太田市地域公共交通会議会長である副市長の決意あるご答弁をいただきたいと思います。

2. IT情報化対策について

2点目のIT情報化対策については、ご答弁にあったような積極的な対応を私からも改めてお願いをしたいと思います。

また、今日ひな壇に並んでいる担当部門になった部長さん方にも、担当者に叱咤激励を賜り、この第2次情報化計画の実践に取り組んで実行に移すということをお願いをいたしたいと思います。

以上で、2回目の質問を終わります。

執行部からの答弁

議長:答弁を求めます。副市長。

副市長:今後の公共交通のあり方についての2回目のご質問にお答えいたします。

議員ご発言のように、少子・高齢化の進展、そして人口減少が進行する中で、公共交通の体系的な整備は「快適空間」を目指します本市にとりまして、極めて重要な課題であると認識しております。そのため、本市総合計画の中に重点戦略の1つとして特出しして掲げておくのもそのあらわれでございます。

私が会長をしております地域公共交通会議におきましても、この問題につきましては継続して課題解決のために話し合い、そして方針づくりに取り組んでまいります。その際、現在の基幹公共交通としての路線バス、それを補完する市民バス、さらにそれを補完する予約型乗り合いタクシー、あるいは患者輸送としての「みどり号」などの運行につきましては、市民の皆様のご意見を十分お聞きしながら、あわせてJR水郡線の利用促進なども含めて、総合的な交通体系の整備に努めてまいりたいと。また、社会状況の変化を敏感かつ的確に受けとめながら、財政問題も含めて長期的な見通しを立てますとともに、今日ただいまの短期的な課題についても柔軟かつ速やかに対応できるよう行政・市民・事業者の連携を強化してまいりますとともに、市民の利便性確保を最優先し、そして、ただいま議員ご発言の将来の安心につながる地域づくり、地域の活性化、そうしたものにつなげられるような公共交通体系を決意をもって覚悟を持ちながら進めてまいる、そんなことを申し上げて答弁とさせていただきます。

3回目の質問

議長:平山晶邦君。

平山晶邦:ただいまは、副市長から決意あるご答弁を賜り、大変心強く思っております。今のご答弁を聞いた市民の方々もさぞかし安心なさったのではないかと思っております。本当にありがとうございました。

4月から21年度行政年度が始まります。21年度は社会がどのように変わっていくのか、本当に不透明な年になると思います。市民と議論を重ね、市民にとって本当に必要としている事業は何なのかをもう一度整理していく年になると思います。地域の経済、社会を支えていく仕組みを作り直していく元年になると私は思っております。100年に1度の危機は、常陸太田市にとっても100年に1度の変革のときかもしれません。このような時代だからこそ、私たちが自信を持って生きていける常陸太田市を市民みんなでつくっていこうではありませんか。私も一緒に頑張ります。

以上で、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。

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