輝きつづける明日へ 常陸太田市議会議員 平山晶邦(ひらやま まさくに)

平成22年12月定例議会 一般質問

  1. 複合型交流拠点施設整備について
  2. 農業用水施設の維持管理について
  3. 常陸太田市の商業振興策について

一般質問内容

平山晶邦:平山晶邦であります。議長のお許しをいただきましたので,ただいまから一般質問を行います。

私は,21世紀は縮小の時代ではないかと考えています。それゆえ,行政の経営も縮小することを前提に考えていかなければならないと思います。縮小という現象には幾つかの背景がありますが,その1つが人口減少です。日本は,これから40年ぐらいで 4,000万人近く人口が減ります。日本の人口は,数年前の1億 2,770万人がピークとなり,その後減り始め,2050年には 8,900万人台になるというのが,国立社会保障・人口問題研究所の予測です。

皆さんは 4,000万人がいなくなるということを想像できますでしょうか。首都圏の東京,神奈川,埼玉,千葉,1都3県の人口合計が約 3,400万人ですから,東京,神奈川,埼玉,千葉県の人口が全部いなくなっても 4,000万人には届かない状況です。あるいは北海道から東北,そしてこの茨城,栃木,群馬の北関東3県までの人口は合計で 2,200万人強ですから,その2倍ぐらいの人口がこれから40年で確実に日本から消えていなくなるという予想であります。

皆さんもご存じのように,日本における人口減少の主な要因は 1.37という出生率の低下ですが,今のまま進めば人口 8,900万人の現在よりも縮小した日本になるわけであります。

経済成長を見ても同様です。日本の経済成長率は,かつては今の中国のように10%前後の高い水準を誇っていましたが,1974年から90年のGDP国内総生産の上昇率は平均で 4.2%,1991年から2009年には平均で 0.8%まで下がりました。このように見てまいりますと,出生率と経済成長率の間には相関関係があります。出生率が下がっていくと経済成長率も下がっていく。子どもが産まれて,それが労働力になるわけでありますから,当然そのような結果になっていくわけであります。そのような現実,すなわち縮小の時代になっていくわけです。

財政的に見ましても国の地域主権戦略大綱の中で述べられているように,ひも付き補助金の一括交付金化等の議論の中で,地方交付税や特別交付金のあり方が問題になっています。国の財政が国民総生産額470兆円の2倍強の 1,000兆円を超える借金を抱えている現状では,国の財政も縮小せざるを得ません。国の地方交付税や特別交付金や補助金に大きく依存している私たち地方の財政も縮小する時代となっています。

私たちの生活はどうでしょうか。私たちのお給料はどうでしょうか。私たちの住む常陸太田市の人口はどのような状況なのでしょうか。常陸太田市の財政はどのような状況になっていくのでしょうか。私たちの生活も以前より厳しい状況にあるのではないでしょうか。私たちがいただいているお給料も以前と比べると下がっているでしょう。市民の皆さんもご存じのように常陸太田市の人口は物すごい勢いで減少し,財政も縮小しているではありませんか。

縮小の時代は,この常陸太田市においても顕著にそして確実に進行しているのです。今回私が質問する内容の社会的背景を前段で申し上げ,質問に入ります。

1.複合型交流拠点施設整備について

第1の質問は本市が計画しております複合型交流拠点施設整備計画の再考を願いたいという思いで質問をいたします。

複合型交流拠点施設整備計画は,本市にとって大変大きな計画であります。また市民の将来にとっても負担がかかるかもしれない多くの疑問ある計画であると思います。それゆえ市民から負託を受けている私は,この計画について疑問に思っていることはあらゆる角度から検討しなければいけないと考えているものでございます。

複合型交流拠点施設整備計画についての質問は,私は9月の定例議会においても質問をいたしました。そのときご答弁いただいた内容を私なりに分析精査し,現場に入って直売所方式で有名なポケットファームどきどき1号店・2号店,スーパーのカスミやジャスコの担当者,ブドウやナシの生産者や農業者,そしてこの計画検討委員のメンバーに直接会ってお話を聞き,調査をいたしました。

その内容を市民の皆様に知らせましたところ,もっと詳細に計画の問題点について質問し,執行部に再考を求めてほしいという意見が多く寄せられました。このことから改めて9月議会の答弁をもとに今議会でも質問をさせていただきます。

経営の根幹をなす収支計画について申し上げます。収支計画は,年間約70万人の方が利用する。そして6億 5,000万円以上の売り上げがなければ赤字となってしまう損益分岐点になるというご答弁がありました。私はこのような施設における70万人,6億 5,000万円という数字は,どの程度の数字なのかを調べてみました。今回計画している青果物の直売やレストランを併設している施設として有名な茨城町の全農いばらきが経営するポケットファームどきどきと,新しく牛久市に開業したポケットファームどきどき2号店,そして那珂市と常陸大宮市のカスミの青果物等の売り上げ,東海村にあるジャスコの売り上げを検討比較いたしました。

そうすると,今計画されております複合交流拠点施設整備の,その経営の困難さが見えてまいりました。70万人という数字は,1年365日のうち350日休みなく施設が開いていて,1日に 2,000人の人が利用する施設でなければ70万人という数字は達成できません。茨城町のポケットファームどきどきは,1日の利用者,平日は約 1,000人です。牛久市につくったどきどき2号店は,約600人の利用者です。土曜・日曜で茨城町のどきどきは 1,500人強,2号店の牛久市は 1,200人強の利用者しか確保できていないのが現状なのであります。

商圏があって,実績がある施設でこのような状況ですから,常陸太田市において1日に 2,000人の年間70万人という数字がいかに大きな数字か,そして実現が大変難しい数字かがご理解いただけると思います。

次に,売上高6億 5,000万円という数字について申し上げますが,仮に70万人が利用するといたしますと,70万人全員が 1,000円の買い物をしなければ達成できない金額であります。今回計画の物販のメインは青果物でありますので,その青果物の金額で見ますとカスミとジャスコの青果物の客単価は約300円です。スーパーなどの量販店の青果物の1品の単価は約100円です。ですから市民の皆さんがスーパーへ買い物に行ったときトマト1袋とキャベツ1個と大根1本買って300円前後なんです。

今回計画されている青果物の売り上げを試算いたしますと,一人が青果物等で使うお金は300円ですから,70万人全員がこの青果物をお買い上げいただいても,青果物の直売所では300円掛ける70万人で2億 1,000万円の売り上げしか確保できません。そしてレストランとフードコートの売り上げを調べてみますと,東海村にあるジャスコのレストランとフードコートの月間売り上げは約300万円で,年間売り上げは約 3,600万円弱の売り上げです。どきどき牛久店の135席を持つレストランの売り上げは単価一人 1,800円のバイキングランチで1日約20万円,年間で約 6,000万円です。

ですから,レストランとフードコートの今回の計画は,レストランとフードコートの売り上げを1億 2,000万円を予定しておりますが,これは大変大きな数字であると思います。

私は,京成ホテルの料理長さんに1億円を突破するレストランとはどのようなものかを聞きました。茨城県のホテルのレストランではないそうであります。食販事業のレストランとフードコートの1億 2,000万円という数字は,このように物すごく大きな数字なんです。損益分岐点である6億 5,000万円を検討いたしますと,仮に70万人の人全員が300円前後の買い物をしても2億 1,000万円です。それにレストランの売り上げを仮に1億円と想定しても3億 1,000万円の売り上げしか見込めません。

経営的に見て,損益分岐点である6億 5,000万円の売り上げを上げるのは困難な状況なのではないかと考えざるを得ません。仮に3億 1,000万円しか売り上げがなければ,3億 4,000万円の赤字になるわけです。経営的側面から見ても2億円以上かかってしまう光熱費や人件費などの経常的経費を考えると,売り上げが少なければ今回の計画は難しいと思います。そして,その赤字を常陸太田市会計から補てんするような結果になれば,常陸太田市の行政経営にとって大変な状況になってしまいます。市民と常陸太田市の将来に,大きな負担を残す施設となってしまうわけであります。

これからの社会環境の変化についても申し上げます。今回計画している施設の今後を考えると,私は現在そしてこれからの社会環境は,私たちが考えているよりももっと進んだネット社会になってまいります。現在でも農産物の流通や消費もネットで提供されます。銘柄が確立している農産物等は,携帯やパソコンを使ったツールによって取引され,ネットを使った産地直送農産物の取引は大きな市場となっています。

もちろん農産物に限らず,あらゆる品物がネットやテレビショッピングの通販によって取引され,今や4兆円規模の市場になっています。そして,それは確実に私たちの想像を超えて拡大していくと考えられます。そして,計画されている施設に市観光物産協会が運営する情報館をつくる予定になっておりますが,観光にみえる方は事前にネットで情報を検索し,またGPS機能を持った携帯ナビによって地域の情報を得て行動をいたします。

常陸太田市にみえる方が,情報館に立ち寄ってパンフレットをもらって,そこから観光地へ行く時代では,現在でもないのです。これからは,もっともっと情報機能検索は発展してまいります。計画で考えているような情報館に立ち寄る人はいなくなります。平成25年度から稼動する施設としては,余りにもこれからの情報化社会を読み取った計画とはなっていないと考えます。

また,屋根つきイベント広場も運営するような計画でありますが,イベントというのは大変なお金がかかるのであります。常陸太田市にお金がたくさんあるのなら多くのイベントもできますが,私が前段で申し上げましたように,これからは国から来るお金を当てにできない状況の中で,大きな常陸太田市の負担が予想されます。

次に,事業費15億円の建物建設について,述べさせていただきます。

今回計画されている事業費15億円について考えてみますと,私は10月にオープンいたしました,全農いばらきが牛久市に建設したどきどき2号店を訪ねて店長から話を聞かせていただきました。面積 4.7ヘクタール,施設の建物と造成費を含めた全部の建設費用は6億 7,000万円,それに土地代2億 2,000万円,合計で総事業費8億 9,000万円です。本市で計画している事業費は,土地代を含めてどきどき牛久店の約2倍に近い15億円です。

どきどき2号店は牛久市にあります。JR牛久駅から3キロ,TXつくば学園駅から9キロ,国道が走っていて圏央道つくば牛久高速インターから3キロで時間は3分の距離にあり,商圏が61万人を持つ場所です。3.2ヘクタールの土地を2億 2,000万円で買って,4.7ヘクタールを施設整備した総事業費金額が8億 9,000万円です。それから比べると常陸太田市の水田3ヘクタールを買収して,施設整備するのになぜ総事業費15億円かかるのか市民の皆さんには理解はされないと思います。

また,全農という農業団体ではありますが,どきどきは3年で黒字化ができなければ事業を撤退するそうであります。ですから,農業団体で補助金がもらえるのにもかかわらず自己資金で設備投資を行っています。補助金をもらってしまったならば,赤字であってもやめることができないからだそうであります。しかし,初年度の赤字は1億円ぐらいになるだろうということです。赤字脱却のために店長は,毎日帰宅が夜中の12時近くになってしまうそうであります。

また,ここは直売所形式でありますから委託生産者の確保のため,市町村をまたがる8JAから協力をもらって200名の委託生産者を確保し登録しているそうですが,実際には50名ぐらいしか出荷がされておりません。委託生産者からは20%の委託費を徴収しています。また,朝出荷した品物の残りは当日の夜に生産者が撤去して次の日には残さない,品物のチェックは大変厳しくこだわりを持って経営をしています。

どきどき2号店と比較いたしますと,常陸太田市の今回の計画は農林水産省の予算を使って行いますので,赤字になっても経営をやめることができません。交付金事業の財産処分基準だと最長で30年です。30年間経営しなければいけないんです。経営見通しが甘かったので赤字が出ましたといって,市民の皆さんの税金を使うことは許されないことです。そして赤字を財政的に厳しい常陸太田市財政から補てんし続けることは困難です。

また,9月議会の答弁の中で,この施設に関係ある農業者は900名という答弁がありましたが,8つのJAから協力をもらっているどきどき牛久店の出荷生産者50名の状況からもご理解いただけると思いますが,常陸太田市内で900名という数字には絶対になりません。そして,常陸太田市の農業は,水田単作農業が主流で,青果物は施設農業ではなく露地栽培の農業生産でありますので,計画生産の推進を図ることは容易ではないと思います。

そして現在,常陸太田市の特産品でありますブドウやナシは自分の庭先で商売が成り立っているわけでありますから,ブドウやナシを直売所に並べるのに手数料がかかれば出荷する人はありません。そうでしょう。自分ですべてを売ることができる商品を,だれが他人に売ってもらう人がいますか。これは当たり前の話です。ですから,観光農園で売れる品質がよいブドウやナシは常陸太田市の直売所には並ばないのです。

この施設の経営や将来は,このような状況が予想されると私は考えています。市が直接経営するということですが,余りに私たち市民にとって,常陸太田市にとってリスクが大き過ぎると考えます。9月議会の中でも申し上げましたが,もう一度申し上げます。国や県そして多くの市町村が直接かかわってきた事業や公的セクターを,苦労して,そして損失を伴って整理・統合している状況です。そのような中で,今回の交流拠点施設整備の計画は,前段申し上げてまいりましたように,行政がやらなければ民間ができない事業ではないはずです。

そして今でも市が施設を整備した直売所等の施設は,JAや水府振興公社や里美ふるさと振興公社に運営補助を出しながら指定管理者で運営しています。交流人口拡大と地域産業の活性化を図り地域振興を図る,そのような目的だけでは余りにも危険が多い事業であると思います。

以上のことを申し上げ,具体的に質問をいたします。

1,1つとして,常陸太田市内にある青果物等の販売が飽和状態の中,既存の直売所や民間のスーパーの方々が一生懸命経営努力をしています。また里美や水府や金砂郷や常陸太田,それぞれの地区においてもそば店の経営とか産物の販売を頑張って行っています。それらの方々に少なからず影響を及ぼすことを認めている今回の事業は,もっとよく地域や既存の商業者への影響力調査やマーケティングを調査研究してからでも遅くないと考えますがいかがでしょうか。お伺いをいたします。

また,行政が民間の事業経営を圧迫することに対して,どのように考えるのかをお伺いをいたします。

2として,この事業全体を見直して,中止や事業規模の縮小を図る考えはないのかどうかをお伺いをいたします。

3つとして,利用者の数や損益分岐点の修正を考える必要があると考えますが,お伺いをいたします。

4として,市行政が責任を持って運営するとはどのような内容を指しているのか,そして市の責任の度合いはどのようになるのかをお伺いをいたします。

5として,生産者の組織化や登録,計画生産の推進,地場産品,農産物の手当ては困難をきわめると予想いたしますが,具体的な方策を考えているのであればお示しをいただきたいので,その件に関しましてもお伺いをいたします。

6として,計画地の土地について発表をしております。このように写真まで付けて発表をしております。この計画地を特定している所有者の了解を得ているのか,また土地の交渉はどのようになっているのか。民間ではこのような開発は,賃借で行うのが通常であると考えておりますが,本市が土地を取得することになった根拠についてお伺いをいたします。

7として,合併時点で全く計画されていない事業に,合併特例債を使って事業を行うことをどのように考えているのかをお伺いをいたします。

以上であります。

私は,市民の皆さん,執行部の皆さんにお考えいただきたいのは,財政破綻した夕張市は交流人口の増加を期待して雇用を守るとか,「炭鉱から観光へ」のキャッチフレーズのもとに過剰投資を続けて行政を進め破綻しました。常陸太田市は茨城県の中で面積は第1位で,高齢者の割合は県内第2位で,子どもの出生数は年間250人という県立高校1校分も満たせない状況で,これからは年間に900人から 1,000人の人口減少が続き,国の地方交付税や特別交付金や補助金に大きく依存し,国の交付税などの見直しがあったならば大変な財政的状況を迎えることが予想される常陸太田市の未来は大変厳しいのです。

私は,前段で申し上げましたように,今,日本全体で縮小の時代を生きているわけでありますから,常陸太田市の身の丈に合った施設を考え,そして常陸太田市にとって,果たして計画している複合交流拠点施設が必要なのかを含め再考願いたいという思いを込めて質問をいたします。市長のご所見をお伺いをいたします。

2.農業用水施設の維持管理について

2点目として,本市の農業用水施設の維持管理について,お伺いをいたします。

今,圃場が整備されていない地域の農業用水施設が,用水路としての役割がされていない状況があります。市民の皆様もご存じのように,農業用水施設の改修が必要なときは土地改良区にその改善をお願いをいたします。しかし,その土地改良区も大変な財政難で,それらの要望に応えることは難しい状況にあります。

常陸太田市の中での農業用水施設は,その地域に住んでいる人々の生活排水の用途としての役割を果たしている地区もあります。農業用水施設でありながら生活排水の用途として利用せざるを得ないのです。すべての農業用水施設ではありませんが,地域や地区によっての農業用水施設の役割を考えなければなりません。

そこで常陸太田市も,農業用水施設すべてが土地改良区が維持管理するのは当然だとするのは早計であります。市は土地改良区と連携を密にして農業用水施設の維持管理改修の解決に努力する必要があると考えますが,農業用水施設維持管理についてお伺いをいたします。

3.常陸太田市の商業振興策について

3点目として,常陸太田市の商業振興策についてお伺いをいたします。

私は,常陸太田市内の小売業者などの商業者は危機に瀕していると考えています。さまざまな統計資料で見てみますと,常陸太田市民の市内で買い物をするという方々が減っています。買い物をする動態調査では,常陸大宮市や那珂市や東海村や水戸市で常陸太田の市民が買い物をしてしまっています。それゆえ,小売業の方々の売り上げは減少し,経営的に大変な状況を迎えているのではないでしょうか。

そこで私は,常陸太田市が商業政策としてどのような対策を打ってきたのかを,常陸太田市の予算書や決算書を見て5年前と比較してみました。驚くことに何の手はずも打っておりません。商工会には5年前よりも少なくなりましたが補助は出しています。自治金融などの利子補給事業はしています。でも目新しい事業は一切取り組んでいません。

例えば,那珂市や常陸大宮市では市内で買い物をしていただこうということで,商業振興券やプレミアム券を行政が補助を出し,協力して発行して市内の商業者の活性化を図りました。そして市民も市内で買い物をすることによって助かりました。また,他の市町村では利子補給の額を行政が上げて商業者の方々の資金面をバックアップしているところもあります。全国的に見ても商業者の疲弊を少しでも和らげるための諸施策を実施している地方自治体が多くあります。

しかし,県北の商都といわれた常陸太田市においては,5年前とは何も変わらない,いや前よりも悪くなっているかもしれない商業政策であります。常陸太田市で市民が喜んで買い物をする,そして商業者も助かるという商業政策を行うべきと考えます。本市の商業政策振興策について,お伺いをいたします。

以上の質問をして,第1回目の質問といたします。

執行部からの答弁

議長: 答弁を求めます。市長。

市長:複合型交流拠点施設についてのご質問にお答えをいたします。

議員からるるご説明がございましたが,今,社会情勢の変動に自助努力によりまして対応可能な企業,商店,そういうものが非常に少なく,ましてや農業におきましては行政の支援なくして継続あるいは活性化は困難な状況にございます。縮小の時代に向かっていることも承知をしておりますが,手をこまねいているわけにはいきません。そのような考え方から,今回の施設整備は市の今はもちろん将来にわたって,市民そして地域の元気を生み出していくための地域振興の重要な政策として取り組んでまいりたいと考えております。

市域全体への交流人口の拡大と基幹産業であります農林畜産業を中心とした地域産業の活性化を進めていくため,その拠点となる施設は必要不可欠であると考えているところでございます。施設への入り込み客見込み数や損益分岐点の試算など,さまざまな経営上の課題につきましては,現在も詳細の調査等を進めているところでございまして,確定したものではございません。

今後さらに分析検証しまして,専門家や広く市民等のご意見等もいただきながら,今後の基本設計を進める中で,施設整備の目的を損なわず,将来負担を少なくできるように施設規模,建設コスト,運営の方法,あるいはコスト等を含めまして精査検討を行ってまいりたいというふうに考えております。

具体的な項目につきましての答弁は,副市長より申し上げます。

議長: 副市長。

副市長:引き続き,複合型交流拠点施設についてのご質問にお答えをいたします。 初めに,ただいま市長が申し上げました本事業の目的を達成するための,この施設の果たす役割について述べさせていただきたいと思います。

1つには,さまざまな地域情報の総合受発信機能の拠点として,観光資源や地域資源,各種体験メニュー,市民活動等を組み合わせた商品作りや,その受け皿となる市民や団体,グループ,観光事業者,農業者,商業者等が連携し,参画協力をいただける仕組み作りを進めながら地域活動の活性化と交流人口の拡大を図っていこうとするものであります。

また2つとして,農林畜産業,商工業等を中心とした地域産業の活性化を図るための拠点として,販売活動はもちろんのこと消費者ニーズに合った農産物等の計画的作付や産地化,農商工連携による加工品開発,地産地消や食育・食文化継承活動の推進,農業等の後継者や新規参入者等の支援育成等に取り組みながら,地域産業全体の活性化を図っていこうとするものであります。

ご質問の中の,まず利用者数や損益分岐点の試算,既存商業施設への影響等についてでございますが,これらさまざま経営上の課題につきましては,ただいま市長が申し上げましたように,現在も詳細の調査を進めているところでございます。今後さらに分析検証を行いまして,施設の目的を損なわないで,将来負担を少しでも軽減できるよう基本設計を進める中で,施設規模,建設コスト,運営コスト等を含めて精査検討を行ってまいりたいと考えております。

また民間の事業者への影響でございますが,全市を挙げて購入客を増やし,多くのお客様に本市に訪れていただくことによりまして,既存施設も含め市域全体の経済効果を大きくしてまいりたいと考えております。

次に,農産物の手当て・確保等についてでございますが,本施設では農産物は販売のほか加工場,レストラン,フードコート等での活用を考えておりまして,現在,市内の農業者の皆様に対し戸別訪問を行い,農業に対する考え方や現在の生産作付状況,今後の生産販路拡大意欲等の調査とそのデータ整理を行っているところでございます。

これらを踏まえまして,今後広く生産者の確保に努めていきますとともに,JAや県農林事務所等と連携を図りながら消費者ニーズに合った農産物の計画的作付や新たな生産者の育成に努めてまいりたいと考えております。

次に,土地地権者の了解はとのことでございますが,9月下旬に整備候補地の皆様方への説明会を開催し,その中で地権者の皆様方からは,今回の場所を整備候補地として今後広く説明をさせていただくことの了承をいただいているところでございます。

また,土地を取得することになった根拠でありますが,長期的な見通しの中で本市活性化の中核施設として運営してまいりますことから,今回は土地を取得して事業を進めることのほうが有利との考えに至ったところでございます。

次に,合併特例債の活用についてでございますが,まず合併に当たっての住民アンケート調査では,合併による効果として観光・交流活動を活性化することが可能との期待が高く,これらを踏まえた新市建設計画では,地域観光利用を促進し地域資源を生かした活力ある産業の町をつくることを基本方針に掲げまして,農業や工業,商業,観光などを一体的に振興し,新市全体の活力の創出を目指すとしております。

そのため,主要事業として観光施設整備や農産物加工販売施設の整備を掲げておりまして,本施設はこれらを総合して実現しようとするものでありますことから,その有効な財源として合併特例債を活用していくことといたします。

最後に市行政の責任についてでございますが,この事業は市の重要な政策として整備運営をしようとするものでありますので,初期の目的を達成するためには行政が人材面や経営面において積極的にかかわりながら,責任を持った経営をしてまいりたいと考えているところでございます。

議長:産業部長。

産業部長:産業部長産業部関係のご質問にお答えをいたします。

初めに,農業用水施設の維持管理についてのご質問にお答えをいたします。現在,農業用水施設の維持管理につきましては,土地改良区が管理をする区域については水利費等を徴収をして,これを維持管理費等に充てることを基本としております。また,その他の区域につきましては,大規模な改修が必要な場合には,市が工事を直接行いますとともに,軽微な修繕等の場合には,修繕に必要な資材等を支給をしまして,施設を利用する地元の方々に維持管理をお願いしているところでございます。

しかしながら,農業用水施設は施設自体の老朽化や維持にかかわる方々の高齢化,周辺区域における宅地化の進行などさまざまな要因が重なり合ってきておりますので,それぞれが単独で容易に維持管理することが困難な状況になってきております。このため,今後の施設管理につきましては,利用する方々に支障が生じることがないよう,各土地改良区及び関係する方々と連携を密にしまして,現状を把握しながら適正な支援並びに維持管理に努めてまいる考えでございます。

次に,常陸太田市の商業振興策についてのご質問にお答えをいたします。

本市の商業振興策につきましては,これまで中小企業者への事業資金融資におけるセーフティーネットの認定や借り入れ金利の軽減を図るための市内金融機関への預託,茨城県信用保証協会への融資保証など制度に沿った支援をしてまいりました。また,商工業者への相談や指導,情報の収集提供などを行う商工会へ,商工業振興事業として補助をしているところでございます。

しかしながら,議員のご発言にもございましたように,本市の商店数,年間商品販売額など年々減少傾向にありますことから,今後は地場産品を活用した新商品を開発する場合の研究開発費の支援,空き店舗を活用した起業時における支援,さらには商工会と連携をしたプレミアム商品券の導入などについて研究検討するなど,商工業の振興に努めてまいりたいと考えております。

議長:平山晶邦君。

平山晶邦: ご答弁をいただきありがとうございました。 私は農業用水施設の維持管理,そして商業政策に関しましては理解をいたしました。しかし,この交流拠点施設のことに対して2回目の質問をいたします。

2回目の質問

平山晶邦:2回目の質問をいたします。

私は今回の計画の目的に関しましては,るる市長,副市長からご答弁がございましたが,これはまさしく図っていかなければならない,これは当然であります。当然です。しかしですね,それをなぜレストランの経営とか,物販の販売とか,そういうものをなぜ行政が今やらなければならないかというのが市民の皆さんにはなかなかご理解をいただいていない。

私は,今回のこの質問を考えるとき,商工会なんかにも行ってご意見を伺いました。そうしますと常陸太田市の生鮮産品はもう飽和状態なんだ。ですから,そこに新たな青果物,新たなお肉をやるのか,精肉をやるのかどうかわかりませんが,そういうものが入ったならば,やはり商業者を圧迫するというのは,これは事実なんです。

あと一つ,今でも市内に5つの直売所がございます。これは,それぞれが大変な努力をして今経営をしています。今,調査研究中だということであります。調査研究中であれば,なぜこういう図面が,場所のものがなぜ最初に出てきてしまうんですか。市民の皆さんにまず言うべきは,さまざまな調査研究した結果によって,施設はやはり必要ではないかという問いかけではありませんか。

そしてまた,今回の計画の手順手法,これには絶対的に私は無理があります。私自身,全農いばらきの前身であった茨城県経済連に勤務しておりましたとき,企画にいて,今のポケットファームどきどきをつくりました。その経験と改めて私は今回の質問を考えるとき,さまざまな関係者の方にヒアリングをいたしました。農業者もいたしました。ナシの生産者もいたした。ブドウを作っている方もした。そういう方々の声を聞いて,私は今回質問したんです。それは私一人がヒアリングをいたしました。一人でやりました。

市行政は,こんなに莫大な計画をこれから進めようとするのに,今調査をしている,これはやはりこの手順手法に無理があると,私は言わざるを得ないと,このように考えます。そしてまた,その経営に私たちの血税が赤字になったら使われるかもしれない。やはりこれは再考すべきです。

そして,そうであれば,市が経営に責任を持つということであれば,今後の経営に関しては市からは一切のそういうものは出さないで経営する。そのような施設をつくると,私は断言すべきです。そうしませんと,それは市民にとって大変不幸な結果になります。

ご答弁いただいた内容は,これから精査するという内容でございました。私はもちろん十分に精査をしていただきたい。そして,土地はもう3ヘクタールこのように写真で,図面で出てる,こういうことがないようにしていただきたい。このように思います。3ヘクタールも分譲する,幾らで土地を買うんですか。どきどき2号店は牛久ですよ。牛久でも 3.2ヘクタールを2億 2,000万円で済んだ。常陸太田市のこの水田,幾らで買収するんですか。そういうことも市民にきちっとわかるように説明していただきたいというふうに思います。

そして,もちろん総事業費の縮小は,これは当たり前です。当たり前です。そして,その後の経営,運営に関しても十分精査をする,これは当たり前です。

あと一つ,合併特例債のことを申し上げますが,合併特例債も計画にはなかった。計画には,例えば,金砂郷地区であれば中学校の統合の施設整備は事業に持ってたじゃありませんか。市道の舗装率に関しても,茨城県で最低の市道の舗装率であります。そういう状況を十分にご認識いただいて,農業者の活性化も必要であります。この地域の活性化はもちろん必要であります。しかし,この事業に関しては十分な数字的なことも市民にお示しをし,そして市民の意見をいただいてから,農林水産省の補助申請を出していただきたいと,このように思います。

改めて,そのご決意を伺って,私の質問といたします。ありがとうございました。

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