○平山晶邦:平山晶邦であります。9月に政権交代が行われました。絶対多数の政権が生まれ、政府が変わるということは、戦後の日本において初めての出来事でありました。私たち国民は、その意義や実績、結果を求めるにはまだ時間が必要だと考えます。ただ、国民にとって「行政の仕組みを考える」「政治を考える」「政府の事業や財政、予算を考える」という手段としては、政権交代して3カ月ですが十分に意義があることだと思いました。
昨年の政府予算を決めるときは、これほど国民の話題にならなかったように思います。八ッ場ダムなど公共事業のあり方、沖縄の基地の問題などの外交防衛でも国民の中で意識せざるを得なくなってきました。事業仕分け作業等についても、私たちが受けてきた行政サービスがどうであったのかを国の財政を含め、国民として考えざるを得なくなってきたように思います。そして、マスコミも含め、私たち国民一人ひとりが行政や財政や公共事業のあり方について話題にし、議論を巻き起こしています。私たち国民のために政府があることを考えれば、国民も官僚や政治家だけに国のありようを任せていたのではいけないわけでありますから、国民の見える場で議論をしたり情報公開を行う、また、過去の歴史の中で隠していたことがあるならば、明らかになることを私たち国民も望んでいると思います。
私たちは、政権が変わったのですから今までの仕組みが変わることは当然であると受けとめていく必要があるでしょう。私たち地方行政にかかわる者としても、今までの延長線で物事を考えていってはいけないのかもしれません。地方においても、地方交付税や特別交付金や補助金の扱いは今後変わっていくと考えることが必然でありましょう。12月は、執行部の皆さんは、来年度の予算、施策の編成に大変忙しい時期でありますが、地方は国から言われたとおりに仕事をするのではなく、地方が自分の頭で考え、多様な発想を求められる施策が今後大切になっていくと、そのスタートの平成22年度予算となるかもしれません。以上のことを申し上げ、議長のお許しをいただきましたので一般質問に入ります。
1点目の質問は、常陸太田市はPDCAサイクル、つまりPlan——計画をし、Do——実践をし、Check——反省をし、そしてAction——行動を起こすというシステムで、行政の無駄や効率化を図り、行政経営を行うとしていますが、どのようにそのサイクルが実行され、行政経営に生かされているのかについてお伺いをいたします。
今、国や先進的な全国の地方自治体においては、横並びの行政の無駄の排除や効率化を図るため、公開で住民も参加した事業仕分けが行われています。事業仕分けは今から7年前、「構想日本」という非営利独立の政策シンクタンクが始めたものであります。その趣旨は、抽象的な行政改革や地方分権の議論を幾らしてもほとんど何も変わらないので、それなら国や地方の事業を一つ一つ全部洗い出し、それが本当に必要なのか、県でやるのがよいのか、市でやるのがいいのか、国に持っていったほうがいいのかという仕分けをやったほうが早いのではないかという思いで事業仕分けを始めたそうであります。国の事業仕分けは、世論調査などで国民の80%以上から支持を受けています。
そして先日、茨城新聞の「県民の声」の欄に、「地方議会にも事業仕分けを」という文が掲載されていました。従来の事務方が作った予算を形式的、前年実績だけで審議するのではなく、議員自らが主導権を持ち、効果の少ない事業を公開の場で削る、このような手法こそ予算の無駄を洗い出す方法としては最適だとし、住民の要求は年々歳々必ず変化が見られるので、その変化を予算に反映するのであれば、前年踏襲、形式的議論では民意の反映はできない、そのために事業仕分けを取り入れてみてはという意見でありました。私たち議員に対して、今までのやり方では議員の監視が十分に果たされていない、議員は何をしているのか、もっと厳しくチェックを行えという厳しい意見です。市民は議会に対して厳しい目で望んでいることが理解できます。
私は、私たち議員は審議議決機関でありますので、決算や予算特別委員会の審議や、議会を通じて市民が望んでいる事業仕分け等の業務をしていかなければならないと思っていますし、予算編成等の執行権を侵すことはできませんので、市民が望む事業仕分け作業は執行部にお願いする以外にないのであります。その中で市長は、本市はPDCAサイクルを確認しながら行政経営を行っていくと言われております。
前段で申し上げましたようにPDCAサイクルは、すなわち計画、実践、反省、行動のサイクルを行って、行政の効率化や無駄の排除に努め、市民の負託に応えた本市の行政経営を行うことであると私は認識しています。それが市民から理解される透明性を確保した説明となっているのかは疑問であります。PDCAサイクルを実践することは必要でありますし、その実行をされていれば評価いたしますが、その情報公開がないのです。常陸太田市においてどのように実行され、それがどのように今の行政経営に生かされているのかが見えていません。市民に対して開かれた透明性ある市政をつくるためには、現在のPDCAサイクルを生かした行政経営についてご説明をいただきたいのであります。
2点目として、本市の指定管理者制度の維持発展についてお伺いをいたします。
資料写真:常陸太田市温水プール
(指定管理者制度を導入し運営)
皆さんご存じのように、指定管理者制度は2003年の地方自治法改正により、公共施設の管理運営を公的セクターに限らず民間事業者や公益法人やNPO法人、ボランティア団体などに経営委託できるようになり、民間の効率的な方法を導入することによって経費の削減やサービスの向上を図る制度であります。本市においてもこの制度を活用して多くの公共施設の運営を任せている現状があります。
本12月議会においても指定管理者の指定が上程されているところであります。私は、そこで常陸太田市公の施設にかかわる指定管理者の指定の手続等に関する条例を読んでみました。指定の申請や選定等、事業報告書の作成や提出などは条例で決められていますが、指定管理者制度の利用者や来訪者の視点の文言はありませんでした。指定管理者が経営していても、あくまでもその施設は常陸太田市の公の施設であります。施設の指定管理者を決定して任せてしまえば、後は指定管理者の問題であるとするのは、公の施設を利用する市民や来訪者に対して責任を持った対応とは言えません。私もそれらの施設を利用することがありますが、利用者に満足を与えているとは到底思えない場面も見受けられます。常日ごろの運営をチェックしたり指導したり、また、指定管理者からの要望などを年間に何回か一緒に検討する機関や場面はあるのでしょうか。公の施設の来場者についての責任は市が持つという気概が必要であると考えます。指定管理者制度の維持発展についてお伺いをいたします。
3点目は、市道の整備についてお伺いをいたします。
常陸太田市は、県内32市の中で市道の舗装整備率が最低であると言われます。常陸太田市の舗装整備率は38.1%であり、県内の市町村の平均は61%あります。市民感情からいっても県内最低の状況はよいことではないと考えます。
ご存知のように、本市は茨城県一の面積を有している市でありますから、市道の延長距離数約2,300キロという半端でない数字であることは認識いたしておりますが、やはり最低というのは残念でなりません。私は今、市民の中には公共事業の道路整備などというと批判があることは承知していますが、整備しなければいけないものは整備するべきであると考えます。それゆえ、市道舗装整備率最低を脱却するべく、年度ごとの計画を持って臨んでいただきたいと考えます。私は市民に対して、本市の道路のインフラ整備は、県内市の中で最低であることを知らしめながら、今後道路インフラには力を入れていくことを宣言し、市民の理解を得ていただきたい。そして、市民生活の根幹をなす市道整備の維持、発展を図っていただきたいと思います。今後の市道整備に対する考え方についてお伺いをいたします。
以上3点の質問をいたしました。今回の質問に入れた私の提案が少しでも反映されたご答弁を期待し、1回目の質問といたします。
○副議長:答弁を求めます。政策企画部長。
○政策企画部長: PDCAサイクルを回した行政経営についてのご質問にお答えをいたします。
本市では、厳しい財政状況の中、効率的かつ効果的な行財政運営を進めるため、現在PDCAサイクルの充実を図るよう努力をしているところでございます。本年度におきましては、平成20年度事業のうち総合計画の重点戦略に係る111事業につきまして、長期メンバーで構成をします事務事業評価会議において評価を行ってまいりました。
評価の方法でございますが、各事業に要するコスト、事業の実施量と事業効果に係るそれぞれの目標値と実績値、これらの評価、さらに、今後の事業の実施改善の考え方等の項目につきまして、各課が作成した評価書をもとに評価を行ってまいりました。評価会議において出された各項目に対する意見、考え方、これらにつきましては、各担当課がそれらの意見、考え方に基づきまして、再評価を見直すとともに、翌年度以降の実施計画に反映するよう調整をしているところでございます。
事務事業の評価におきましては、客観的な評価ができるように可能な限り目標値の定量化を図っているところでございますが、より適正な評価とするため、引き続き指標や目標値の検討が必要であると考えております。今後も効率的、効果的な行財政運営を進めるため、評価結果を翌年度以降の事業により的確に反映できるよう、評価の時期や評価に基づく事業の見直しのルール化など改善が必要であると考えておりますので、毎年度見直しを行いながらPDCAサイクルの充実を図ってまいりたいと考えております。
以上です。
○副議長:総務部長。
○総務部長:指定管理者制度の維持発展についてのご質問にお答えをいたします。
指定管理者制度を導入しました施設の管理運営に対するチェック体制につきましては、観光施設、スポーツ施設や福祉施設など、すべての施設において指定管理者との打ち合わせ、職員の現場チェックによる指導監督、指定管理者からの要望、協議への対応などを行っておりまして、施設によって差はあるものの、サービス向上に向けた改善に努めているところでございます。
また、毎年前年度の管理運営状況について報告を受け、公の施設の指定管理者選定委員会において、その状況のチェックと評価を実施し、施設の管理運営の改善の指導を行っているところでございます。しかしながら、利用者の満足度をさらに高めるためには、施設の管理運営を初め、接客マナー、利用者からのアンケート及び直接の意見要望等の把握、定期的な指定管理者との打ち合わせの実施など、統一的なチェック体制の整備が必要と考えております。
今後、統一的なマニュアルを本年度内に作成しまして、それぞれの施設に応じてこのマニュアルの活用を行い、施設の管理運営に対するチェック機能の充実を図ってまいります。また、施設の経営者としての認識を深めながら、さらなる利用者サービスの向上に努めてまいりたいと考えております。
以上です。
○副議長:建設部長。
○建設部長:今後の市道整備の考え方についてのご質問にお答えいたします。
本市は面積が372平方キロメートルと県内一広いこともあり、市道の実延長も約 2,300キロメートルと、県内44市町村の中で3番目の長さとなっております。このうち舗装整備されておりますのは、平成19年4月1日現在、延長約870キロメートル、舗装率約38%と、県内平均の約61%を大きく下回っており、県内44市町村の中で最下位にあります。
現在、幹線道路につきましては国、県などの補助事業を積極的に活用した整備を、生活道路につきましては、市の単独事業として整備を推進しております。特に、生活道路の整備につきましては、市の単独事業であることから、町会などの整備要望に十分な対応ができていないのも事実でございます。
また、本市の特徴といたしまして、山間地域の工事では構造物が多くなり、田園地域の工事では排水の流末処理などが多くなるなど、工事費が県内のほかの市町村と比べて割高になる傾向にあります。
このような中、市道整備に当たりましては、改良工事により現況幅員を拡幅して、その後舗装工事を行うことを基本としておりますが、整備を必要としております区間が家屋密集などにより現道拡幅がどうしても難しいところにつきましては、現況幅員で舗装工事を行い、日常生活に不便をおかけしないように取り組んでいるところでございます。
これから舗装率を仮に県内平均の約61%に引き上げるには、延長約530キロメートルの舗装工事を行う必要があります。整備の必要性などを考慮せずに、すべてを幅員 2.5メートルの砂利道として舗装工事のみを行う条件で試算いたしますと、本市の平均的な事業費は、1キロメートル当たり約800万円であることから、約42億円の事業費が見込まれます。また、この延長約530キロメートルすべてを5メートルに拡幅する改良舗装工事を行う条件で試算いたしますと、本市の平均的な事業費は、1キロメートル当たり約1億円であることから、約530億円の事業費が見込まれます。
一方、今後はこれまで築造してきた橋梁や舗装などの維持補修工事にも多額の費用が必要となってまいります。議員ご発言の年度ごとの整備計画の策定につきましては、現在町会等の要望に対しまして、1つの町会につき1路線の整備という方針のもと整備を推進しておりますが、中長期的な計画を策定することにより、将来にわたる維持補修工事を含めた道路整備の必要額が把握できることから、今後検討してまいりたいと考えております。
道路は市民生活に最も身近で重要な社会資本でございますので、今後も地元の皆様のご協力をいただきながら積極的に整備に取り組んでまいります。
○副議長:平山晶邦君。
○平山晶邦:2回目の質問をいたします。
1点目のPDCAサイクルを実践した本市の行政の点でありますが、私は、今市民は国、県、市も含めて行政への不安を持っているのでないかというふうに感じています。これからどうなっていくんだろうという不安であります。そして、余り行政に対して信用していない。市政においても市のガバナンス、すなわち統治を信用していない。その市民の声に対応できるのは、市民に対してすべてを公開することであると思います。市民にオープンにして税金の使い方を決めていく、市の行政の業務を市民の目にさらすことであるというふうに考えます。
昨日の新聞で、県内においても守谷市についで笠間市が、補助金審査会を公開して予算編成を透明化するとの記事がありました。また、笠間市は、今までも予算編成期に各課の予算要求額と見込み額との差をホームページ上で公開し、市民と行政の相互理解に努めてきたようであります。
また、全国的に見てみますと、現在国で行っている事業仕分けも、地方公共団体においては結構やっている市がございます。それからすると、今後ルール化をしてPDCAサイクルを111の事業で行ったと、そして、次年度に生かしていきたいというその趣旨は私は理解をいたしましたが、それを透明化して市民にどう知らしめていくのかと、これが今のご答弁では余りよくわかりませんでした。今年はもう来年度予算編成に入っているわけでありますから、情報を公開するという基本を持った常陸太田市の行政経営というものに対して、今一度お考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。お尋ねいたします。
2点目の指定管理者制度についてでありますが、私は、指定管理をしている場所でそばを食べましたとき、その接客の悪さに閉口いたしました。また、今年紅葉狩りにまいりまして、指定管理者が運営している施設にまいりましたところ、県内外からのお客様に対するおもてなしの心が感じられませんでした。やはり、人が動かしているということを考えると、先ほどこれから統一的なマニュアルを作成して、指定管理者との協議の場を設けていくというお話がありましてそれは了といたしますが、やはり、心のこもった積極的なマナーを統一して、そして行政も、例えば各部が管理している部の縦割りの中で指定管理者と打ち合わせをするのではなくて、やはり全体的な統一した中でどこかがやはりきちっとそれを運営管理するということも必要なのではないかなと思っております。ただ、今後統一的なマニュアル、そしてまた機会を設けるということでございますから、それは了といたしまして、ぜひよろしくお願いをいたします。
3点目の市道の整備についてでありますが、私は今までに住みよさランキングなどを示して、本市の住みよさを追求すべきであるということを議会の場で申し上げてまいりました。市道や農道の整備は、人が暮らしていく上で心地よさを求める大きな手段であると考えています。お金がかかることは十分よくわかります。そして茨城県一大きい面積を有する市をカバーするのは大変なこともご答弁で十分わかりました。しかしぜひとも県内最低というポジションではなく、一歩でも二歩でも前進した対応を改めて心からお願いをいたします。
1点目のPDCAサイクルの情報を公開すると、市民にわかってもらうという手段について改めてご答弁をお願いしたいというふうに思います。
○副議長:答弁を求めます。政策企画部長。
○政策企画部長: PDCAサイクルを回した行政経営についての再度のご質問にお答えをいたします。
PDCAサイクルを回す過程での透明性の確保についてでございますが、この評価を行っている実施計画の公表、あるいは評価結果の公表などにつきまして、PDCAサイクルを回すサイクルを見直す中で検討してまいりたいと考えております。
○副議長:平山晶邦君。
○平山晶邦:3回目の登壇をいたしました。
議会初日に、市長は招集のあいさつの中で、市内の生徒たちの常陸太田市の未来に対する思いを話されました。私も全く同感の思いで聞いていました。そこで、私のところへ届けられる金砂郷小学校だよりにすばらしい言葉がありましたので、それをご紹介して質問を終わりたいと思います。
その文でございますが「「夢」のある者には「希望」がある。「希望」のある者には「目標」がある。「目標」のある者には「計画」がある。「計画」がある者には「行動」がある。「行動」がある者には「実績」がある。「実績」がある者には「反省」がある。「反省」がある者には「進歩」がある。「進歩」のある者には「夢」がある」——流通評論家の吉田貞雄さんの文であります。
常陸太田市が持っている夢を、先ほどの紹介した文章のようなサイクルで、市民に情報公開を基本とした行政経営を改めてお願いを申し上げまして私の質問を終わります。ありがとうございました。