輝きつづける明日へ 常陸太田市議会議員 平山晶邦(ひらやま まさくに)

平成25年3月定例議会 一般質問

  1. 25年度予算について
  2. 県の特別支援学校の開設に伴う近隣地区の生活道路等のインフラの整備について

一般質問内容

平山晶邦:平山晶邦です。議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。

3月議会は予算議会であります。本市の予算は0.41という県内で最低の財政力で、自主財源が乏しいため、国の財政動向と政策に頼った予算となります。常陸太田市の財政は国の施策と密着した、国の財政状況に左右される自治体です。それゆえ、常陸太田市の市民を初め、市行政にかかわる私たちは、国の財政状況に敏感にならなければいけないと思います。私はある官僚と話をしたとき、「日本の財政は臨界に近い。今回の成長戦略にかけてみるしかない」と言っておりました。

また、ある国会議員と話をした折、「今の日本にはモデルとすべき国がない」と言っておりました。彼は、「高度成長のころは、アメリカをモデルに日本流をプラスしてきた。今の日本は、何もかもなくした戦後からミラクルの経済成長を遂げ、世界第3位の経済大国になった。しかし、短時間のうちに、世界で最初の少子化、高齢化という社会になり、特に少子化は大変な状況になっている。日本の強みであった年金、医療などの日本モデルの社会保障が厳しい状況になっている。政府債務は世界で1番、そしてついに貿易収支が赤字になってしまった。このような国は世界にはない。すなわち見習うべきモデルがいない。残された時間は限られている」と言っておりました。

国の状況を24年度予算で見ますと、24年度予算は90兆3,339億円でありました。90兆円の予算のうち、税収は42兆円、公債金である国債は約44兆円、その他の収入6兆円でした。90兆円の予算のうち、実に22兆円は国債費すなわち借金返済に回っている状況で、国民のためには68兆円しか使えていない状況です。単年度のプライマリーバランスを見ても、22兆2,998億円の赤字になっています。毎年40兆円を超える借金をしながら予算を作っている状況です。

市長の施政方針にもありましたが、国は切れ目ない予算という考え方から、25年度予算は補正を含めた15カ月予算の考え方でありますが、国債発行も過去最大の50兆円を超える状況で、当然25年度プライマリーバランスは赤字であります。現在でも、国の政府債務状況は約1,000兆円に近く、国絡みのさまざまな債務を合わせると1、000兆円を超えるとさえ言われています。このような状況が続けば、日本はどうなってしまうのでしょうか。

今、経済学的にはデフレからの脱却といって、2%の物価上昇を目標にしましたが、物価が2%上昇すると金利は3%ぐらいになります。そうなってくると、財政は国債の金利負担や国債の償還金額だけでも莫大な金額になり、国債価格の暴落を招き、国債を大量に抱える銀行や生・損保なども困り、国家財政としては大変な状況を迎えるのではないかと考えます。また、今までは、日本はアメリカと違って、財政が赤字でも貿易収支は黒字であるから大丈夫なんだと言っておりましたが、現在は貿易収支も赤字になってしまいました。日本の経営収支の中で、大変な状況が生まれているのです。アメリカと同じように、双子の赤字に悩まされるようになってしまいました。アメリカは日本の五、六年先を行くと言われます。つい最近の報道を見ても、アメリカは減税打ち切りと歳出削減が重なる財政の壁の問題を先延ばしにしておりますが、直近では連邦職員の強制的な削減などを行い、官民で75万人の雇用が失われるような歳出の強制削減が発動されるという事態になっています。それでも、アメリカの政府債務は国内総生産GDPの100%程度ですが、日本は国内総生産の200%近い政府債務を抱えています。日本がなくなってしまうわけではありませんが、アメリカの例からもわかるように、我が国の財政は大変厳しい状況であるという認識と、大変厳しい未来を予想しなければいけないと思います。

常陸太田市の財政を考える上でも、常陸太田市の未来を考える上でも、国の財政状況の分析をしておくことは非常に大切なことであります。常陸太田市においても、小泉首相の三位一体改革の当時は、財政調整基金を取り崩しながら予算を計上したではないですか。今は、その当時よりも日本の財政は確実に悪くなっていることは明らかです。国からの交付税や補助金削減は、すぐそこに来ているのではないでしょうか。私は国の財政状況を興味深く見守りながら、常陸太田市の財政を考えることが必要ではないかと思っています。このことを申し上げ、一般質問に入ります。

第1の質問は、25年度予算の編成過程でPDCAサイクル、費用対効果についてどのように検討がなされ、予算が決定したのかを予算編成プロセスの中で説明していただきたいのであります。私は25年度予算については、よく作った予算と評価いたしております。私が25年度予算を評価している視点は大きく3つあります。1つには、市民にとって細やかな配慮をしている。2つには、定住促進のための施策、人口増加、特に生産年齢層を本市にとどめようとする即効性ある、めり張りがきいた施策を打ち出している。3つ目には、委託料やさまざまな経費の小さい積み重ねの縮減が図られていることであります。

私が前段申し上げましたように、国の財政が好転しない状況であったならば、自主財源が乏しい常陸太田市は一段の予算の縮減を図る必要も出てまいりますので、市民にとって何が必要かを考えた予算の執行が大切になってくるのではないでしょうか。市民にとって何が必要か、効率がよい行政はどうするのかの議論が今回の予算編成にあったと推察いたしますが、どのような議論が繰り広げられたのでしょうか。25年度予算を広く市民にご理解いただくため、25年度予算に当たり、PDCAサイクルや費用対効果をどのように検討したのかを予算編成プロセスの中で説明していただきたいのであります。

第2の質問として、旧瑞竜小学校跡地に県が開設を予定する仮称県北特別支援学校に伴う市道や下水などのインフラ整備について伺います。常陸太田市にとって、県の施設の開設は大変ありがたい事業であります。本市にとっても、小学校跡地の有効利用は絶対成功させなければいけません。それには、この施設の地域に住む住民の皆さんの協力が大切であります。支援学校が来ることによって、地域の皆さんが不便を感じるようになっては元も子もありません。また、特別支援学校の皆さんや関係者が不便を感じてもいけません。

特に、瑞龍地区は生活や通学道路の整備がおくれている状況が見受けられます。今考えられている支援学校の通学道路は、瑞竜中学校の通学道路であり、過去においても大きな事故があった道路であります。通学に使うバスの運行や支援学校の職員の皆さんの通勤に伴う事故などがあったならば、取り返しがつかない事態になってしまいます。また、災害などにも備えた安全安心な道路整備が必要だと考えます。

そして、瑞龍地区はブドウなどの農産物や優良米の産地であり、長尾谷津環境を守る会や、瑞龍のサクラを守る「瑞桜を守る会」などの環境や文化に留意した活動を行っている地区でもあります。それゆえ、施設から出る汚水や生活雑排水への配慮をする必要もあります。県の施設ができたことによって地域が活性化した、支援学校関係者からもすばらしい環境の中で教育ができよかったなどの評価を支援学校、地域住民双方からいただけるような施設にしていただくために、道路、下水等のインフラの整備についてお伺いしたいのであります。

以上の2点の質問を行い、1回目の質問といたします。

執行部からの答弁

議長:答弁を求めます。政策企画部長。

政策企画部長:PDCAサイクル、費用対効果を予算編成に当たってどのように検討したのかとのご質問にお答えをいたします。市では、実施計画に掲げられている事務事業の継続的な見直し、改善を図るため、平成17年度より事務事業評価の仕組みを取り入れ、事業の目標や成果、コストなどをできるだけ数値化することにより、可能な範囲で事務事業を定量的に評価、検証し、見直しを行っていくこととしております。平成24年度においては、平成23年度実施計画に登載をされていた277事業について事務事業評価を行いました。

まず、昨年5月に各部課等において、前年度の事務事業について、事務事業評価シートに各事業の投入コスト、目標指標の達成状況、事業の妥当性、成果、効率性、今後の事業展開の方向性などを書き込み、自己評価を行い、政策企画部のほうへ提出をいただきます。政策企画部といたしましては、各部課等が1次評価した、自己評価をした事務事業のうち、重点戦略事業として位置づけられた95事業について、各部課等における1次評価、自己評価の妥当性などについて改めて検証をし、政策企画部としての所見を書き込み、担当部課等にお返しをするとともに、その中で特に全庁的な視点から評価、検証を行い、施策展開の方向性の議論が必要であると思われる45事業については、8月中旬に庁議メンバーにより構成される事務事業評価会議を開催し、最終的な事務評価を行いました。

総合評価としてA、B、C、3つの段階の評価を行い、それらの評価結果に対する今後の事業の方向性についての所見を付して、担当部課等に戻しておりまして、最終的に拡充が5事業、継続が43事業、改善が34事業、統合が7事業、廃止が1事業、そして完了が5事業という整理をいたしました。

これら評価結果につきましては、すぐに各部課等にフィードバックされ、平成25年度以降の実施計画の計画原案に反映され、改めて政策企画部のほうへ提出をされます。その後、事務事業評価結果と実施計画原案のすり合わせのための調整作業が、各部課と政策企画部の間で行われ、10月の市長、副市長ヒアリングを経まして、実施計画原案が取りまとめられ、11月に入りますと、それらの内容に従って各部課等が予算要求を行い、また財政課においては、予算編成作業の判断材料としてそれらが活用されるという流れになっております。

以上のような事務事業評価の流れの中で、見直しがされた代表的な事例を何点か申し上げますと、新築住宅建築等に係る固定資産税相当額の2分の1相当額、上限10万円を3年間助成する定住促進助成制度については、定住人口の増加につながっているのかどうか、またわかりやすい制度なのかどうかという点についてやや疑問があり、制度内容を市民の方によりわかりやすく、また魅力あるものに見直しを行う必要があるとの評価から、事業の方向性が改善とされ、見直しの検討の結果、平成25年度からは市内に住宅を取得した子育て世帯等に対し、住宅取得時に一括して上限20万円を助成する制度に改めることとして、新年度予算案に所要額の計上を行っております。

また、体験型交流事業として実施をしておりましたコシヒカリオーナー制については、参加者側及び受け入れ態勢側の双方においてメリット感が薄く、事業そのものが拡大しないことから、現行の内容での事業継続は適切ではないのではないかとの見方から、事業の方向も改善とされ、担当課のほうでは予算を縮減して予算要求をいたしましたが、結局予算査定において事業が廃止とされております。

さらに、放課後児童クラブについては、これまでの取り組みに対して一定の評価を行うとともに、利用希望ニーズ調査を実施し、未設置校への設置を進めるなど利用環境の充実を図られたい旨の所見を付して、評価結果を担当部課へお返ししたところ、里美、水府、郡戸、3カ所の新設並びに春、夏、冬休みの預かり時間を朝夕30分ずつ拡大する内容で、新年度予算案での所要額の計上を行っております。

ますます厳しくなる財政状況のもとで、持続可能な行財政運営を行っていくためには、限られた財源を効率的、効果的に活用することが重要になっておりまして、事務事業のPDCAサイクルを回すことによって、どのような成果が得られたかを検証し、その後の予算へフィードバックする取り組みを徹底していく必要がありますので、今後も引き続き評価、検証の仕組みの改善を行い、個々の施策や事務事業の質の向上を図るとともに、スピード感を持った事業展開に努めてまいります。

議長:建設部長。

建設部長:県の特別支援学校の開設に伴うインフラの整備について、近隣地区のインフラ整備促進について、旧瑞竜小学校跡地に県が開設を予定している特別支援学校に伴って、市道や下水道などのインフラ整備が必要だと考えるが計画等についてということで、これにお答えいたします。まず、市道についてでございますが、特別支援学校の開設に伴いまして、教職員の通勤、父兄による生徒の送迎、スクールバスの運行等によります車両の通行が見込まれます。ルートとしましては、国道349号の旧瑞竜小学校入り口交差点にアクセスする市道0102号線の東側ルートと、瑞竜中学校から市道0104号線、市道0102号線を通る南側ルートの大きく2つのルートが考えられるかと思われます。

現況としまして、東側ルートでは、国道349号の南側から入る市道0102号線の交差点部分は鋭角となっておりますので、スクールバスの左折に支障を来すものと思われます。この交差点につきましては、昨年10月に地元町会からも改良要望書が提出されておりまして、平成25年度から国道、警察など関係機関との交差点改良協議と、交差点を広げるために用地買収が伴いますので、土地所有者の協力をいただいた上で改良工事を予定しております。

また、南側ルートでは変則十字路が支障となりますので、変則十字路を含めた東側、南側ルートで見通しの悪い箇所や狭隘区間箇所の改善につきましては、平成27年4月の開校までに地元町会を初め、地元との調整を図り、協力をいただきながら、改善に向けて努力してまいりたいと考えております。

次に、下水道につきましては、特別支援学校は旧瑞竜小学校に比べ、生徒数、教職員数が大幅に増えることにより、現在の浄化槽では容量が不足しますので、既存の浄化槽を使用するとともに、新たに浄化槽を増設する計画となっております。

また、近隣地区につきましては、市長の施政方針でも申し上げましたが、茨城県那珂川久慈川流域別下水道整備総合計画にあわせ、全体計画を見直す中で、費用対効果を勘案するとともに、整備のあり方についても数々の手法が考えられますことから、こうした点を踏まえて、市の下水道事業全体の整備計画を作成することとしております。当地区におきましても、全体計画の中で検討を進めてまいります。

2回目の質問

議長:平山議員。

平山晶邦:2回目の質問をいたします。

1問目の25年度の予算のプロセスについては理解をいたしました。この問題に関しては、要望をさせていただきます。

27年度には、本市は合併算定替えの交付税の削減がやってきます。その他にも、交付税の問題については今後、地方にとって大きな状況変化が生まれてくると考えられます。本市の自主財源の確保は人口減少が続く限り、私は改善しないというふうに思っております。そうであるならば、やはり事業の見直しに着手しなければいけない状況が生まれてまいります。25年度は予算の執行に当たりながら、事業の一層の検証を行っていただきたいということを要望しておきます。

2問目の特別支援学校に伴うインフラの整備でございますが、下水道に関しては本市が25年度から行う総合計画の中で、あの瑞龍地区も含めた総合計画の下水道の中で見直すという回答でございました。これは引き続きよろしくお願いをいたします。

市道路の整備についてでございますが、今ご答弁いただいた内容は局所的な、一時的な対応としては理解をいたしますが、特別支援学校は先ほども答弁の中にあったように、教職員等においても100人弱、生徒は200人近く、合計で300人前後が集う施設であります。常陸太田市においても一大施設になるわけです。また、通勤する先生方が万が一事故などを起こした場合は、県職や先生という職業でありますから、本人も大変な状況に置かれることになるわけです。将来、予見されるであろう安全安心に配慮した道路整備を、私は考えなければいけないとこのように思っています。開設までまだ時間があるわけですから、十分に県と協議して、県に対しては、瑞龍地区は293バイパスの整備を予定しているようでありますから、早急な293バイパスの整備と、市においては瑞竜中学校の通学道路として、また瑞龍地区の皆さんの生活道路としての総合的な市道の整備を考えて、地区中央に走る道路整備等が必要であると考えます。今回の特別支援学校の開設に伴って、地区全体の活性化と安全安心が図られる道路整備を改めて要望したいと思いますが、これに関してはご所見をお伺いしたいと思います。

執行部からの答弁

議長:答弁を求めます。建設部長。

建設部長:2回目の質問にお答えいたします。

瑞龍地区を含めまして、国、県に対して国道293号バイパスの整備促進を引き続き強く要望してまいります。市道につきましても、国道293号バイパスの整備工事と関連しますので、バイパスの事業者であります常陸太田工事事務所と連携を密にしまして、市道の整備の検討を進めてまいりたいと考えております。

3回目の質問

議長:平山議員。

平山晶邦:ありがとうございました。ぜひ市長を先頭に、今回の特別支援学校の事業を成功させなければいけないものですから、それにかかわる瑞龍地区のインフラ整備についてはよろしくお願いをいたします。改めてお願いをいたします。

最後に申し上げておきたいのは、国の25年度予算を提出したときに、麻生財務大臣が演説でも「いつまでも財政出動を続けるわけにはいかない。日本の財政に対する信認を確保していくことも重要だ」と言っています。私は国が全て面倒を見てくれる時代は終わったのかなという思いがあります。かといって財政は、一地方自治体でできることは本当に限られています。しかし、少しでもいいから地方自治体として常陸太田市が自助努力をしていくことが大切になってくると確信しています。

私は、常陸太田市の未来に責任を持った議員活動を行うことをお約束いたします。25年度の執行部の皆さんの一段の奮闘を期待して、私の一般質問を終わります。

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