輝きつづける明日へ 常陸太田市議会議員 平山晶邦(ひらやま まさくに)

平成23年6月定例議会 一般質問

  1. 常陸太田市の防災対策と対応について

一般質問内容

平山晶邦:平山晶邦でございます。

3月11日午後2時46分は,私たち日本人にとって,決して忘れることができない,歴史に刻まれる大災害となりました。日本人が戦後つくり上げてきた都市や,ハイテクノロジーの粋を集めた原子力発電所を自然が襲いかかり,いまだ収束の足取りが見えません。私たち人類が作り上げてきた文明は,自然の前ではいかに無力であるかを思い知らされました。日本人にとって,3月11日は第2の終戦だということも言われます。先日,NHKの番組で東日本大震災と関連して,2010年に亡くなった京都大学名誉教授で,初代国立民俗学博物館長であった梅棹忠夫氏が1970年代に人類の未来について語った番組を放送していました。梅棹氏は,文明の未来はバラ色ではない,暗黒が待つということを言っておりました。文明の進歩が人類にとって墓穴を掘っている。そこで,3つのことを上げています。大流行病の発生,2位は資源の枯渇,3位は原子力発電でありました。1970年代にグローバル化する社会を見通して,まだエイズや新型肺炎サーズなどが問題になっていない時代に,世界的な大流行病の発生を予見し,エネルギー資源の枯渇を心配し,原子力発電の危機を嘆き,人間の知的探究心すなわち欲望を科学はコントロールできないと位置づけ,人類の共通の危機であると指摘していました。そして,自然の猛威が人類文明を破壊する。決して文明の未来はバラ色ではなく暗黒であるという表現をしています。今,私たちが直面している状況を40年前に指摘しているのです。番組を見ながら,このことに私は驚きと同時に,これからの未来を切り開いていくのはどのようにしていかなければならないのかを考えました。梅棹氏は,暗黒の次に,明るく輝く光を見る──光明という言葉を使いますが,これには具体的な表現や事例をしるしていません。

梅棹氏は,常にフィールドワーク,自分の足で歩いて自分の目で見て自分の頭で考えることが大切であると言っていたそうであります。梅棹氏は,光明については自分たちで考えろと,私たちに宿題を出したのかもしれません。第2の終戦と言われる日本において,光明を求めて,これからの未来は,私たち今生きているものが作り上げていかなければならないのだと強く思いました。

今回の大震災で,私たちの住む町常陸太田市も被災地となりました。私自身,常陸太田市は大きな災害がなく,温暖な気候と豊かな自然環境に恵まれた場所と思っていましたので,議員という職責が与えられているにもかかわらず,常陸太田市の防災対策について油断していたように思います。私は被災を受けた中で,多くの常陸太田市が抱える防災に対する課題,問題が見えてきました。3カ月が過ぎた今,私たち行政に携わる者が考えることは,市民に対して,あれもやりました,これもやりましたということではなく,市民に対して,あれもできなかった,これもできなかったということを,今後の防災対策に生かすべく整理し実行していくことではないかと思います。

以上のことを申し上げ,議長のお許しをいただきましたので,一般質問に入ります。

第1の質問として,常陸太田市の防災対策,今後の対応についてお伺いをいたします。

その1つとして,避難所マップで市が提示している避難所は,今回の災害に対して避難所として活用できていたのかについてお伺いをいたします。

ここに,常陸太田市市民生活ガイドがあります。この冊子で,もしものときの避難場所として掲示している避難所は112カ所ありますが,多くの場所が今回の地震で被災して,避難所にはふさわしくない場所であることがわかりました。また,避難所に指定されている小学校の校長先生との話の中で,市民の方が小学校へ避難させてくださいといらした方がいるそうです。このように,市民は避難場所として提示されていれば,近くの避難場所にまず行くのではないでしょうか。市民は不安の中で訪れた避難所が使えないような状況であったら,その心中はどのようにしたらよいのかと不安が倍増するのではないでしょうか。また,金砂郷地区で避難所になった大里ふれあいセンターは,このもしものときの避難所にはなっていませんでした。それゆえ,市民に提示する避難場所は,あらゆる防災を想定し決定しなければならないと考えます。今回のような地震によるものや大雨による水害や火災やその他も考えられるのかもしれません。ここでは,市民に対して,もしものときの避難場所として案内しているわけでありますから,慎重な基準をよりどころとして,さまざまな角度から検討して決定しなければならないと考えます。

生活ガイドで提示している避難所は,どのような基準で決定しているのか,避難所としての活用はどのような状況であったのかをお伺いをいたします。

次に,国と県が調査して市が作成した常陸太田市,常陸太田,金砂郷,水府地区のハザードマップを作りました。里美地区はまだ調査されていないようでありますが,その危険区域内に市公共施設が3地区で32施設あり,そのうち指定避難場所として26施設が該当しています。国・県は,危険地域の把握のために予算を使い調査したわけでありますから,それが常陸太田市の防災対策のために使われていないとすれば,仮に事故等が起きた場合のすべての責任は常陸太田市が負うことになります。ハザードマップを作成し,市民に対して危険地帯の説明を本市はしているわけでありますから,避難場所への指定に対しては整合性がとれる市民に説明して理解が得られる指定避難場所でなければならないと考えます。危険区域に位置する市の施設で,指定避難場所となっている施設への今後の対応についてお伺いをいたします。

次に,今後の公共施設,インフラの老朽ケア,耐震性能の劣化対策についてお伺いをいたします。

この問題は,常陸太田市に限らず,全国各地で問題になっていることであると思います。高度成長期に建設整備されてきた公共施設やインフラの多くは,老朽化で耐震性能が劣化するなど,強度が不足しています。しかし,財政上のゆとりがないために,維持費や更新工事が進んでいないのが現状だと考えます。今回の震災では,常陸太田市においても道路や橋や学校や庁舎や公共施設を初め,多くの公共建造物が被害に見舞われました。大規模地震では,社会インフラや構造物の老朽化が被害拡大の一因となっています。本市が保有する公共施設とインフラ資産で,建てかえや大規模修繕を行うために必要となる定期点検等は実施しているのでしょうか。

また,今後更新のために必要な費用を試算する上で算出根拠となる基礎データが資産管理台帳でありますので,施設ごとに土地,建物についての面積,建設時期,設計図,構造などを記した記録をしっかり管理されていないと,更新費用の試算が難しいと考えますし,施設の点検や補修工事の計画を立てる際にも不可欠な資料となると考えます。

本市行政資産管理台帳の管理はどのような体制になっているのかを含め,老朽化や耐震性の劣化対策を今後どのように進めていくのかについてお伺いをいたします。

次に,教育施設や文化施設の耐震化の状況と,今後の対策についてお伺いをいたします。

皆さんもご存じのように,教育施設や文化施設は,常に市民が利用して,多くの市民が集合できる施設のためにある公共建物です。今回の震災において,それらの多くに甚大な被害が生じ,偶然,施設を使っていなかったから,今回の震災の中で市民の命や安全を確保できましたが,3月11日2時46分に,施設等に大勢の人々が集まっていたらと考えると,大変な状況が生まれていたかもしれません。それゆえ,教育施設や保育施設や文化施設は,公共施設の中でも特に整備が求められる建物であると考えます。国の災害復旧補助の基準は現状復帰であります。国や県が災害復旧に伴って耐震化の補助を入れた施設を考えてくれることを期待しても難しいと考えます。災害復旧,耐震化対策は全く別物なのです。補助金も起債等についても別物なのです。ですから,今回被災した教育・文化・保育施設に安全で安心な耐震化を入れた建物に整備することは,本市が今後どのように対応していくかという哲学が求められると思います。市行政の第一義は市民の安全を担保することであります。これらの施設の耐震化はどのような状況であったのかをお伺いして,今後のこれらの施設に対する対策はどのような対応を考えているのかについてお伺いをいたします。

次に,各町内に組織化した自主防災組織は,今回の震災の中でどのように機能したのかをお伺いをいたします。この質問は,私の前の同僚議員が行いましたので,回答は結構でございますが,ただ,なぜこの質問をしたのかという観点で,ちょっと聞いていただきたいと思います。

先日,地元の消防分団の集まりがありました。地元の高柿,千寿,岩手の3町会長も参加した席で,自主防災組織の話になり,今回の震災の中で全く機能していなかったという話をされました。町内会活動としては,炊き出しなどを行った町会もありますが,自主防災組織としての活動は,私の周りでは話が出てきません。自主防災組織は,ハード面では整備したけれど,組織の実態はなかなか見えてきません。自主防災組織の運営をどのような形で総括しているのか。これは前同僚議員が話した内容でございますので,割愛をいたしますが,このような形で消防分団の集まり,そして町内会の集まりの中でこういう話が出てきたということをご理解を賜りたい。このように考えます。

次に,消防処理の体制についてお伺いをいたします。

先ほど,地区の消防団の皆さんと集まって話をしたと申しました。そのとき,分団の方々から,分団員の募集が難しい話や分団員は昼間は勤めているので,金砂郷地区第9分団の団員18名のうち自営業者は1人,昼間活動できるのは1人であるということを伺いました。そのように考えると,常陸太田市は高齢化が進み,一段と防災体制の整備が難しくなる状況と考えると,プロの集団である消防職員に寄せる期待は高いものがあります。下宮河内町にも出張所を作る予定であるようでありますが,体制が整っていない施設がいくらあったって,機能しないと考えます。消防団員の不足や高齢化が進んでいる当市でありますから,今後の防災を考える上で大切なのは,防災最前線で活動できる消防職員の体制作りではないかと思います。ハード面,ソフト面も含めた強力な体制を作っていくことが大切であり,そのことが市民の皆さんが安心して暮らしていける地域づくりになっていくと考えます。防災の最前線で活動する消防職員の体制作りについてお伺いをいたします。

次に,金砂郷支所の今後の整備についてお伺いをいたします。

今回の震災で,金砂郷支所は壊滅的な被害を受け,現在は使用を中止しています。支所という地域行政機能の核になっている施設は,地域の皆さんの象徴であり,活動の拠点になっている施設であります。地域の多くの市民が訪れ,市行政の相談をしています。それゆえ,今までなれ親しんだ場所にある施設が使えないということは,大変不便であり,市民の士気にも影響を及ぼしていると考えます。また,人気がない,ガラス等が割れて寒々とした金砂郷支所の建物を見ると,大変心が痛みます。金砂郷支所の一刻も早い整備を望むものであります。今後の整備については,金砂郷地区の市民にいろいろな意見があると考えますので,市行政が一方的に整備に対する考えを進めるのではなく,町会長さんを初めとして,各界,各層から意見の聴取を図り,金砂郷地区民の思いが結実した今後の整備を進めていただきたいと考えますが,ご所見をお伺いいたします。

次に,農地の復旧対策についてお伺いをいたします。

今回の震災により,農地の生産基盤についても大きな被害を受けました。農業用水が被害を受けて,いまだ田植えが進んでいない農業者もいます。水田も液状化があり,農業者はとりあえずの復旧に努めて,今年はあきらめて植え付けを行わない農業者もいます。

稲敷市は,本来実施主体である土地改良区の財政負担を考慮し,市主体に農地の復旧を目指し,予算措置も行いました。今回の震災の農業関係については,農業関係被害対策会議を設置して取り組んでいることは理解しておりますが,農業生産基盤である農地の復旧対策については,用水路の復旧等を含めた土地改良区などとの整備は,どのような状況なのか。また,農地の液状化などにより,農地として利用できない面積はどのくらいになっているのかをお伺いをし,土地改良区の財政負担だけで済ませておいて,農地復旧対策は進むのかどうかについてお伺いをいたします。

大きな2点目として,福島第1原発事故の対応についてお伺いをいたします。

今回の福島の原子力事故は,世界に例を見ない,世界が驚愕している原子力事故となりました。今,明らかになる原子力に対する我が国の取り組みは,やはり問題があったと断じざるを得ません。

12年前にも隣の東海村で,原子力が臨界に達するJCO事故を起こし,その当時,東海村長村上達也氏は,原子力事業を推進する経済産業省の中に,原子力安全保安院を置くことが,アクセルとブレーキを同時に行っているのであり,これでは,原子力事業の安全を担保できない。アメリカの原子力安全委員会のような独立した仕組みが必要であると訴えていたことを思い出しました。

しかし,地方行政をあずかっている直接的な被害を受ける首長の意見は生かされず,政府は発言を無視し,原子力安全機関IAEAも,3年前に原子力事業をチェックする機関は独立した組織にするべきとの勧告を受けていたにもかかわらず,その勧告を生かせず,レベル7の原子力大事故によってからしか,さまざまな原子力安全行政の確保はできないありさまであります。

政府も,原発への安全対策の不備を認めた報告書をIAEAに提出しました。このような中で,多くの国民,地方自治体が今回の事故による被害者となりました。常陸太田市においても,沃素やセシウムが出て,市民をパニックに陥れました。そして,情報が錯綜する中,いまだ見えない恐怖の中で生活しています。

そのような状況の中で,本市は行政としての損害を受けているわけでありますから,東京電力に対しての損害賠償を請求する必要があると考えます。市民への説明責任の中で,賠償請求をする姿勢は大切であります。原子力発電事故の損害額の見積もり等は行っているのか。そして損害請求はいつ行うかについてお伺いをいたします。

次に,今回の事故は,放射線という目に見えない,弱者である子どもたちや若者が特に影響を受けるものです。また,政府の教育現場に対する放射線の基準は,年間20ミリシーベルトと言った後から,1ミリシーベルト以内とか訂正したり,迷走を続けています。

このような中で,本市の教育環境に与える影響も少なからずあろうと思いますが,その現状と対応についてお伺いをいたします。

また,夏になり,学校のプール等は,原子力事故以前からため置きしている水があります。プールの掃除などは,例年ですと,先生方と生徒によって行っていたと思いますが,プールのため置きしている水などは,放射線量の値などははかっているのでしょうか。それらの水も安全が担保できない状況では,例年のようなプール掃除はできないと考えますが,ご所見をお伺いいたします。

次に,東海第2発電所の隣接市としての,今回の事故後の取り組みについてお伺いをいたします。

今回の事故を見ますと,立地市町村ばかりが被害を受けるのではなく,近隣市町村の住民が住めなくなる,地方行政ではあってはならない状況が生まれています。東海第2発電所は,従来4.9メートルだった自家発電の防護壁を6.1メートルまでかさ上げしていた2基の自家発電装置は守られ,工事が終わっていない1基は損傷し,2基が稼動したから大事に至らずに済んだのであります。原発の設計は,設計用最強地震と設計用限界地震,マグニチュード6.5の直下地震を想定して設計されているそうであります。原子力関係者の想定外というのは,電気が喪失した状況を想定し得なかったことであり,大地震が起きたことではないのです。しかし,安全神話の上に作られた原発でありますので,安全対策については,何度要望しても要望し過ぎることはないと考えます。先ほど,市長のご答弁で,NHKのアンケート調査に対しては回答をしたというご答弁がありましたが,私は安全対策については,近隣の市として,きちっとした決意を出しておくべきと考えます。常陸太田市の市としての取り組みについて,お伺いをいたします。

以上の質問で第1回目の質問といたします。

執行部からの答弁

議長:答弁を求めます。市長。

市長:ご質問の中の一番最後に,東海第2原発の隣接市として,きちんとした意思表明をすべきというご指摘をいただきました。私の考え方につきましては,宇野議員さんのご質問にお答えをしたとおりであります。何をおいても安全第一ということは当然のことであります。そのための基準について,例えば我々行政,地方自治体がこんな基準でやればいいよということを提言できるような実力,見識もございません。したがいまして,宇野議員さんにもお答えを申し上げましたように,きちっとした安全対策はかくあるべしということを国が早く国民にわかりやすく示す。それに基づいて,それぞれの事業者においてその安全が確保できるような施策を展開をする。そういうことが最も必要である。それを企業だけが自前でやる,それだけではだめでして,先ほど来,保安院の話もございましたけれども,きちっとした機関において,これを現場検証した上で,その可否について判断ができるというシステムを今,それらしきものはありますけれども,安全の基準が示されていないのが実態であります。そういうことをまず第一番目に強く要望していきたいと,こう思っております。

実は,先週,東海第2原発の執行役員,常務さん,そして所長さんにお越しをいただきまして,これから東海第2原発どうするのかというあたりを,概略でありますけれどもお伺いをいたしました。先ほど平山議員さんのお話にもありましたように,防潮堤,防波堤といいますか,それを大至急に築くということが1つ。原発の建屋自身は海岸から400メートルほど離れておりますから,そこについては,最後の最後,防潮堤として原発建屋全体を囲むような防潮堤をつくるというようなお話がございました。それはそれで1つの手段としては大変結構なんでありますが,今回の福島第1原発の事故にかんがみますと,一番弱いところはどこかというと,冷却水系統の配管,そしてまたそれぞれのポンプやいろんな施設を動かすための配線系統のダクトのたぐい,そういうところから汚染水が,今,太平洋に流れ出している。それらについても,1つの手段だけでは,そこが壊れたら何もなりませんので,二重,三重の手だてをバックアップして,きちっと構築をすべきだ。そんな話をいたしました。

そういう中で,話がありましたのは,今回の東海の事故で,大きな容量の自家発を動かすための冷却水,海水を循環させる小型の自家発装置が海水をかぶって動かなくなった。そのことによって,今後の対策としては,大型トラックに積めるような,かなり大きな自家発装置をバックアップ施設として備える。そしてまた,今回は,燃料不足ということがこの震災で発生をいたしました。タンクローリーについてもそれを常備をするということ。それから,その自家発だけでどうしてもいかなくなるようなケースも考えられる。そこで,ポンプ消防車を常備をする。そんなことを今の東海第2原発は考えているようであります。いずれにしましても,先ほど言いましたように,その配線あるいは配管のダクト等からは,きちっとした密閉タイプあるいは非常に地上から高いところを通すなどの二重の手だてをしておく必要があると思います。それは,自家発電についてもまた同じであります。要するに,1つだけの対策ではだめなんで,万が一のときの二重,三重のバックアップシステムを構築するような,そういうことを要望としてさせていただきました。

なお,それらにつきまして,技術的なことは別として,安全対策を最優先にすること。そのことによって,国民,市民の安全の確保に努めるのは我々の仕事でありますので,宇野議員さんにも申し上げましたが,僕たちが県市長会等でそれらについて取りまとめをして,県及び国に対して提出をすることとしておりますので,そういう中でも声を大にして叫んでいきたい,そういうふうに思っているところでございます。

以上です。

議長:総務部長。

総務部長:常陸太田市の防災対策の対応についての中の総務部関係のご質問にお答えをいたします。

初めに,避難所マップで提示している避難所は避難所として活用できたのかについてでございますけども,避難所につきましても,幼稚園,小中学校,公民館,集会所等の公共施設,または公共的施設で,地域の方が認知をしており,避難所として使用可能であるものを指定をしております。今回の震災におきましては,市が指定をする避難所で,施設の損壊により全部または一部が使用不能となった施設がございましたので,ただいま申したようなことを踏まえ,避難所の開設に当たっては,その被害状況を確認し,安全であると判断をした施設について,防災行政無線により案内誘導を行ったところでございます。

また,市が直接開設をしました避難所のほかに,市の施設も含めまして地域の集会所なども避難所として使用された状況もございます。

また,小中学校を初めとする市の施設の避難所につきましては,市の耐震化改修促進計画に基づきまして,平成27年度までに耐震化を完了することを目標に取り組んでいるところでございます。施設の再点検を行い,災害時に利用できる施設を念頭に,避難所の見直しを行ってまいる考えでございます。

次に,危険区域に位置する市の施設で避難所となっている施設への対応についてでございますが,市が配布をしておりますハザードマップにつきましては,市の指定避難所とハザードマップ作成時の地域説明会での意見や要望によりまして,地域集会所などが避難所として表示をされております。その中で,災害の種類によって使用できなくなる避難所につきましては,色を変えて表示をすることによりまして,避難の際に,より注意をしていただくため,掲載をしております。先ほど申しました避難所の見直しに当たりましては,これらのことも含めて考えてまいりたいと思いますが,地域の施設の状況により,やむを得ず指定する場合には,災害によって使用できない旨の周知を図ってまいります。

次に,今後の公共施設やインフラの老朽化や耐震性の劣化対策の進め方についての中の行政資産管理台帳の管理体制につきましては,土地,建物に関する台帳としまして,財産台帳の整備をして,契約管財課において管理をしております。この台帳は,施設ごとの土地,建物についての面積,建設時期,構造などについて記載をしております。設計図などの詳細な資料につきましては,各施設を所管する管理課が,この台帳の副本をもとに,あわせて施設を管理しております。なお,道路や橋梁,上下水道につきましては,それぞれの担当課において,台帳,施設ともに管理をしております。

次に,金砂郷支所の今後の整備についてお答えをいたします。

金砂郷支所につきましては,応急対応として,金砂郷保健センターを使用しております。今後の整備に当たりましては,これまでの場所に再整備をするのか,また,既存の公共施設に併設をするのか等,整備コストや利便性を考慮いたしますとともに,金砂郷地区町会長協議会など,地域の皆様のご意見をお聞きしながら,整備方針をまとめてまいりたいと考えております。

続きまして,福島第1原発事故の対応についてお答えをいたします。

本市が受けた損害賠償についてでございますが,市としての損害が,河川の水質検査委託料,放射線測定装置購入費,職員等の人件費,農産物風評被害対策にかかる利子補給及び安全性PR活動助成金などがございます。事故は現在も続いておりますので,事故が収束をして,損害額がまとまった段階で,損害賠償の請求をしてまいりたいと考えております。

議長:教育長。

教育長:常陸太田市の防災対策と対応についての中で,教育施設や文化施設の耐震化の状況と今後の対策についてのご質問にお答えいたします。

本市の幼稚園,小中学校の耐震化の状況でございますが,本年4月現在の耐震化率は52.9%となっており,残りにつきましては,平成27年度までにすべての学校等施設の耐震改修を完了する予定ですが,耐震診断の完了している施設の被災状況等を見ながら,安全確保を第一に,できる限り早期に改修が完了できるよう,計画の見直しも行ってまいりたいと考えております。

また,被災を受けました教育施設,文化施設の復旧に当たっての考え方でございますが,今回の災害におきましては,特に天井やサッシなどのいわゆる非構造部材の落下によるものが大きな被害となっているところでございます。国の災害復旧におきましては,原形復旧が基本となるところでございますが,学校等の教育文化施設につきましては,児童生徒を初め市民の安全性を最大限確保する必要がありますことから,落下のおそれのある天井材の撤去による復旧やサッシなどの補強による復旧等の方法等につきまして,国・県と協議してまいりたいと考えております。なお,非構造部材の改修等,災害復旧事業の対象とならない場合は,大規模改造事業により,補強等につきましてもあわせて検討してまいりたいと考えております。

いずれにいたしましても,児童生徒,市民の皆さんの安全で安心して使用できる施設となるよう,できるだけ早く復旧,耐震化ができるよう努めてまいりたいと考えております。

次に,福島第1原発事故の対応の中で,教育環境に与える影響と対応についてのご質問にお答えいたします。

教育施設におきまして,放射線の状況を災害前と比較ができますものは,学校敷地内にモニタリングポストが設置しております世矢小学校,峰山中学校,南中学校の3校でございます。これらにつきまして,災害発生前の3月11日0時10分と6月4日の同時刻の放射線量を比較いたしますと,世矢小学校で1.8倍,峰山中学校で2.0倍,南中学校で1.6倍となっております。文部科学省におきましては,校庭・園庭での測定値が,1時間当たり3.8マイクロシーベルト以上,年間20ミリシーベルト以上の場合は,校庭等での活動を1日当たり1時間程度にするなど,児童生徒等の屋外活動を制限することにより,児童生徒等の受ける放射線量の低減を図ることとしております。

また,今年度,学校において児童生徒等が受ける線量につきましては,5月27日付で年間1ミリシーベルト以下を目指すこととされたところでございます。本市の各幼稚園・小中学校につきましては,5月12日以降,これまで2回の測定を行っているところでございますが,5月30日から6月1日の間で測定いたしました2回目の測定結果を見ますと,文部科学省の測定基準と同じ地上50センチメートルで最も高い値は1時間当たり0.138マイクロシーベルトでございます。この値で年間積算値を試算いたしますと0.725ミリシーベルトとなっており,国が目指す値である年間1ミリシーベルトを下回っている状況にあります。これらの測定結果から,市内の幼稚園・小中学校における放射線量は,一般公衆の線量限度ございます年間1ミリシーベルトを下回っており,支障のないものと考えておりますが,さらに児童生徒が受ける放射線量を少なくするため,手洗い,洗顔,うがい,土や砂を口に入れないなどの注意,それから登校,登園時,帰宅時に靴の土をできるだけ落とす。土ぼこりや砂ぼこりが多いときには窓を閉めるなどの対応について,各学校長に指示をするとともに,プールの掃除につきましては,放射性物質がたまりやすいプールの底の汚泥等の処理については,教職員が行い,児童生徒はプールサイドの清掃を行うなどの安全策を講じたところでございます。

なお,プールでの水泳授業の実施につきましては,文部科学省が屋外プール利用についての基準を示すとの報道がありますことから,これらの基準に基づき,安全性を確認した上で,水泳授業を行うことといたしました。

以上でございます。

議長:建設部長。

建設部長:常陸太田市の防災対策と対応についての中の,今後の公共施設やインフラの老朽化や耐震性等の劣化対策についてお答えいたします。

公共施設については,各施設を管理している担当部署において,それぞれ施設の点検や維持補修等を行い,安全確保に努めているところでございます。そのうち,建築物についてでございますが,平成18年に国において施行されました耐震化促進計画に基づき,本市では平成21年より耐震改修促進計画を策定いたしまして,平成27年度までに耐震化率100%を目指し,計画的に推進することとしてございます。耐震化改修計画でございますが,対象となるのは建築基準法の耐震基準が昭和56年に見直されたことから,それ以前の建築物とし,また一定の面積を有するなど,建築物の規模も要件としております。本市にはおおむね55の施設が該当しておりますが,小中学校を優先し進める計画としてございます。

次に,道路,橋梁についてでございます。

台帳につきましては,工事等で変化が生じますので,年度ごとに現地の捜査をしまして精査し,台帳に基づき現地確認を行うなど,維持管理に努めております。安全対策についてでございます。道路については行政側のパトロールと地元からの情報提供等により安全を確保し,橋梁については,国が進めている橋梁長寿命化修繕計画に基づきまして,安全対策に取り組むこととし,これまでに該当する橋,全部で125橋ございますけれども,すべて点検業務完了しているところでございます。今後の整備計画についてでございますが,平成23,24の2カ年で修繕計画を策定しまして,平成25年度から順次耐震補強等の工事を進めていく予定であります。なお,本年度は50橋について修繕計画を策定する計画でございます。

次に,上下水道でございます。

同じく年度ごとに現地精査をするなど,台帳を精査しまして,前設管の設置年数や材質等を把握し維持管理に努めてございます。この中で特に上水道施設の内配水管についてでございますが,課題として腐食と老朽化等の経年劣化対策があります。このうち腐食対策については,平成5年度から取り組み,また老朽化対策についても平成15年度から,それぞれポリエチレン製フィルムによる防護,さらには腐食に強い金属材の使用や,耐震管を採用するなど,積極的に耐震化に取り組んでございます。今後とも公共施設の耐震化を促進し,安全確保に努めてまいります。

議長:消防長。

消防長:常陸太田市の防災対策と対応についての中で,消防署員の体制についてお答えいたします。

消防を整備するに当たりましては,火災,救急,救助等の災害に対応するために必要な人員や施設については,総務省消防庁から整備指針が示されており,人口や地域の特性などを基準に,市町村が決定しているところです。常陸太田市の消防施設については,現在,南消防署,北消防署,北消防署里美出張所の3カ所を拠点として消防業務を行っているところです。人員につきましても,指針の中で消防車両に搭乗する消防隊員の隊員数,通信司令室の司令要員,予防業務の人員等がそれぞれ示されております。当市においては,2つの消防署を合わせて消防ポンプ自動車が5台,救急救助工作車が1台,高規格救急車が4台,指揮車が2台,搬送車などの特殊車両が3台を配備しております。各消防署では,2交代24時間勤務体制で,昼夜を問わず災害に備えており,南消防署44名,北消防署33名うち里美出張所が8名で業務に当たっております。その他に総務や予防など専門的な消防事務を担当する本部職員が消防長を含めて10名おり,現在87名の体制となっております。具体的には,救急車や消防ポンプ車,救助工作車など,車両の乗りかえや消防本部事務と消防署業務の兼務などにより,署員の適性,効率的な運用を行い,業務が円滑に遂行できるように努めているところです。特に,年々増加する救急出動につきましては,重症の高齢者の要請が増加し,重篤な患者に対する迅速な措置が必要となるため,到着に時間がかかる金砂地区に出張所の設置を計画しているところです。これらの消防拠点には,高度な救急処置ができるように,高規格救急車を配備するとともに,救急救命士が常に搭乗できるように,養成に努めているところです。地域住民に対する安心安全の確保は最優先の課題であり,消防においては,消防拠点や車両の整備,さらにソフト面でも,職員の資格取得や最新技術の習得のため,各種講習会への参加,消防学校への入校など,職員の資質の向上に努め,一人でも多くの市民の命を救うことができるように,効率的で信頼される組織づくりに向けた取り組みを進めてまいります。

議長:産業部長。

産業部長:常陸太田市の防災対策と対応に関するご質問の中の農地の復旧対策についてお答えいたします。

本市の東日本大震災による被害状況とその取り組みの状況でありますが,金砂郷地区の花房地内における辰ノ口土地改良区の幹線用水路への土砂の崩落を初め,6つの土地改良区において,37カ所の農業施設,市南部の久慈川,山田川,浅川沿いの農地の一部に地割れ及び液状化等,11カ所の被害がありました。そのうち農業施設の災害につきましては,稲作の作付の用水の供給の必要性から,国の承認を得,査定前の工事着工により,農業施設の復旧を行い,5月22日をもって,土地改良区すべての用水の供給を行うことができました。これによりまして,例年よりの後れはありましたが,大部分の作付が完了しております。

なお,施設の復旧につきましては,施設管理者が復旧することを原則に進めてきたところでありますが,今回の復旧におきましては,緊急性があることとともに,事務作業が複雑であることから,市へ依頼のあった4つの水利組合等の復旧事業につきましては,市が代行する形で行っております。また,今回の災害復旧に要する工事費の国の補助割合は,国の査定により決定することになりますので,その割合によっては,事業主体に対してかなりの負担となりますことから,市としての負担も検討する必要があるものと考えております。

なお,この補てんの対象となる復旧事業につきましては,各種設計が必要とされており,その費用は対象外でありまして,負担も多大であることから,国へその負担を要望したところであります。液状化した農地の復旧につきましては,大部分が農地の全面の被害ではなく,その一部であることから,噴出物の除去は通常の作付前の作業と同様の作業で対応可能であることから,国庫補助対象外という状況でありました。この液状化した農地の対処方法につきましては,県の農林事務所がパンフレットを作成しまして,JAを通して周知を行っております。

また,生産者から相談された箇所につきましては,農林事務所の職員とともに,市の担当者が現地に出向き,噴出物の除去及び作付準備等についての説明を行いまして,稲作については,作付が完了しております。

今後とも,市農業関係被害対策会議を活用しまして,各種情報の一元化を図り,的確で迅速な情報の発信並びに対応策の検討を引き続き行ってまいります。

以上です。

2回目の質問

議長:平山晶邦君。

平山晶邦:ただいまご答弁をいただき,理解をいたしました。

皆さんもご存じだと思いますが,日本時間の6月の13日午前11時に,2月に大地震があったニュージーランド,クライストチャーチでマグニチュード5.2の地震がありました。また,チリのプジュウエ・コルドンカウジェ火山が噴火して,近隣諸国を初めとして,1万キロ離れているニュージーランド,オーストラリアまで火山灰が到達して,航空便に影響が出ているそうであります。私たちが考えられないような集中豪雨も世界中で起きている。世界の自然環境が大きな変化をしている中で,自然災害はいつ来るともしれない状況にあるのではないでしょうか。日本においてもマグニチュード8以上の巨大地震が茨城房総沖で起こる可能性が指摘されているわけでありますし,自然災害でなくとも,万が一東海村の原発に──こういうことは予想はしてなかったんですが,飛行機が墜落して原子力の建屋を破壊するという可能性も否定できないような状況になってきました。これからは,想定外ということは通じません。今回の大地震と原子力事故という二重の災害が私たちが住む常陸太田市の近々で起こり,その被災地にもなったわけでありますから,防災対策を真剣に考え,実行していただきたいと思います。

私は今回,ここで質問した以外にも,常陸太田市民の安全と安心を確保する上で,市ができなかったことがたくさん,実はあると思います。市民の皆さんから要望を受けた項目もたくさんあると思います。人間は失敗からより多くのことを学びます。今起こっている現実を分析して,より高い活用可能な防災計画を策定しておく責任が,被災地である私たちにはあるんです。今回の教訓を生かして,あらゆる角度から想定した高度な防災に強いまち常陸太田市を作っていくことを,私も市民の皆様にお約束をして,私の一般質問を終わります。

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