輝きつづける明日へ 常陸太田市議会議員 平山晶邦(ひらやま まさくに)

平成23年12月定例議会 一般質問

  1. 常陸太田市の財政状況について

一般質問内容

平山晶邦:平山晶邦であります。議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。

「広報ひたちおおた」12月号に、市の財政は健全ですの記事が載っていました。これは、平成22年度決算で見た財政診断となっていましたが、私は、市民が受ける感じは、常陸太田市は財政が大丈夫なんだ、これからも自分たちが受けている行政サービスは受けられるんだと、このように思ったと思います。昨年の12月議会で、同僚議員の質問に対して、執行部は、本市は地方交付税の割合が高いので、別枠加算の廃止など地方交付税が減額となった場合、当面は基金の取り崩しや行革努力により対応するにしても、将来的には、現在の行政サービスの見直しに着手せざるを得ないものと考えておりますと答弁をしております。私は、市民に対して、市の財政は大丈夫なんだというメッセージと、将来行政サービスが受けられなくなるんだという答弁のギャップを、執行部はどのように考えているのかを、市民は知りたいのです。今議会の招集のあいさつの中でも、市長は、合併算定替の20億円について言及しています。そこで、私の考えを述べさせていただき、質問をいたしたいと思います。

今、ヨーロッパの財政危機が大きな話題となっています。ギリシャの財政危機に端を発したヨーロッパの財政危機は、世界の危機になっています。日本においてもその影響は顕著で、他人事とは言えません。30年前であったら、ヨーロッパの小国で財政が破綻した国があるぐらいの話題で終わっていたかもしれません。しかし、グローバリズムの時代は、世界で起こったことが、すぐに日本に影響を及ぼします。ヨーロッパで起こっている財政危機が、日本にも大きな影響としてあらわれているのです。

世界の問題と常陸太田市が関係あるのかと思われるかもしれませんが、今年の茨城県内の 1,000万円以上の企業倒産は、過去最大であったそうであります。その原因は、ヨーロッパの経済危機や円高やタイの洪水の問題だそうです。茨城県の企業が、いかに世界的な問題とつながっているのかの証左でありますし、常陸太田市にも関係がないことでは済まされなくなっています。例えば、常陸太田市内の高校の就職活動に影響が出るかもしれません。企業のリストラにあって、本市においても、生活保護世帯になっている人も増加しています。このような状況があるのです。

財政破綻したギリシャでは、公務員の報酬が30%減になり、国民への行政サービス機能ができなくなっています。ギリシャの国債は50%減価を機関投資家に義務づけ、国債を持っている銀行などは大きな損失をこうむっていますし、倒産した銀行もあります。7年前、アテネオリンピックを開催したその国で、今、国が破綻しようとしているのです。ギリシャ危機は、ポルトガル、スペイン、イタリアと飛び火して、今やフランスに危機の影響があらわれようとしています。財政債務危機によって、ユーロ圏が消滅するかもしれない状況を呈しています。

先ほども申し上げましたように、私たちが住んでいる日本においても、大きな財政危機が迫ろうとしています。世界で見ても、GDP、国民総生産の、実に200%を超える国債を発行しているのは、日本だけです。これは異常な値です。よく日本では、国債の引き受け手が、日本国内の機関投資家である銀行や生損保で、90%以上も国内で消化されており、外国資本が日本国債を持っている割合が少ないから、まだ影響が少ないと言われますが、果たしてそうでありましょうか。そして、国債がまだ大丈夫と言う根拠に、国民の個人総金融資産が 1,400兆円あるから、これを超えなければまだ行けるんじゃないかということも言われますが、国民の個人の借金も400兆円ぐらいあるわけでありますから、差し引き 1,000兆円がリミットであると考えなければなりません。そうすると、政府は、来年度の国債の発行は44兆 3,000億円以内としています。また、復興債は11兆 5,500億円としています。どのような債権にしようとも、合計で56兆円の借金が増えることには間違いありません。そうすると、現在でも日本の借金は国、地方合わせて900兆円以上です。それに56兆円を足すと、限りなく1,000兆円に近づくわけです。これには、国の独立行政法人などの借金は入っていません。

このように見ていくと、個人資産を2年以内には超えてしまうような状況が生まれます。そうすると、世界の格付会社が日本国債の格付をマイナスします。国内の機関投資家と言われる銀行や生損保会社が、国債のマイナス評価分を利益から出さなければならなくなります。銀行や生損保会社の経営が大変な状況になり、それ以上の国債の引き受けができない状態になったら、ドイツであったような、国債の募集額に届かない札割れが生まれ、日銀が買い支える以外ないなどの状況があらわれるかもしれません。そうすると、日本の国債の利率が上がり、返済の金額も上がってしまう状況になり、日本においても、欧州で起こっている国債のデフォルト、債務不履行も現実を帯びてくるかもしれません。

このように、政府も、過去最大と言われる来年度予算の中で、借金をしながら問題をどのようにクリアして予算編成をしていくかが、最大の課題としています。その議論の中で、地方交付税の見直しも例外ではないのです。特に、別枠加算の問題は、1年も前から議論しています。市民の皆さんもご存じのように、常陸太田市の予算は、自主財源が55億円ぐらいしかない中で、国の政策いかんによって、国からの交付税や補助金によって、230億円以上の予算執行をすることができていますし、23年度は震災の影響がありますが、276億円近い予算の歳出になります。それゆえ、国の動向が直接、常陸太田市の状況の変化となってあらわれます。

小泉内閣の三位一体改革のときは、常陸太田市の予算は、それまで蓄えていた財政調整基金を取り崩しながら予算編成をしていました。財政調整基金の残高は、22年度末で37億円ですが、平成19年度は24億円しかありませんでした。23年度12月現在で見ると、大震災の影響により、20億円の取り崩しがありますから、現在は約20億円の残高でしょうか。私は大震災の復旧予算は、可及的速やかに事業を行うには、基金の取り崩しは必要不可欠であると考えています。しかし、前段にも申し上げましたように、国の大変厳しい状況を考えると、財政調整基金のことばかりでありませんが、今後の常陸太田市の財政状況を心配せずにはいられません。

市民からも、今回の震災で常陸太田も金がかかるだろう、財政は大丈夫かとか、国も借金が多いけれど、常陸太田市の借金はどうなのかなどの質問をよく受けます。また、常陸太田市は財政力が 0.43と弱小で、面積は県内で一番大きく、人口減少が急速に進んで行政効率が悪く、高齢者の割合が多く、そして少子化であるという事実から、行政経営が大変難しいまちであります。そこで、市民目線で、今後の本市の財政状況についてお伺いをいたします。

1点目としては、現在の財政状況について伺います。1つは、今回の東日本大震災を受けて財政状況の変化はあるのかを伺います。2つ目は、今年度末の、市民の貯金である基金の残高の状況は、どのくらいの金額になると予想しているのかを伺います。

次に、大きな質問の2点目として、来年度以降の財政状況をどのように考えているのかをお伺いをいたします。先ほども申し上げましたように、本市は人口減少が県内でも一、二の地域であります。人がいなければ、市税の減少につながります。また、今回の震災で固定資産税などの変化があると考えます。そのような背景の中で、1つとして、市税等の自主財源の状況に、今後変化はあるのかをお伺いをいたします。2つ目は、国の状況が大変厳しい中で、本市にもおいても、平成27年度から平成32年度の5年間で、合併算定替の20億円の措置が切れてしまいますが、今後の地方交付税や国庫支出金等の見通しはどのように想定しているのかを伺います。3つ目は、今回の震災により財政調整基金が取り崩されますが、今後の財政状況の中での財政調整基金の見通しをお伺いをいたします。

最後に、市債の残高についてお伺いをいたします。本市は、確実に市債の残高の減少を進めてまいりました。これは、現在のような経済環境や社会環境の中では、やらなければいけないことであります。しかし、本市は今後、水道事業や大きな事業を予定しています。が、果たして今回の震災後の市民感情を考慮すれば、借金である市債の増加を市民が許すのかは、意見があるところだと考えます。災害復旧は近々の課題として取り組まなければなりません。そして、先日示された110億円近い、3カ年の復旧事業を進めていかなければなりません。しかし、市債が増える、借金が増えることに対して、市民が敏感なのです。そこで、今後の市債の残高をどのように考えておられるのかをお伺いをいたします。

以上で1回目の質問といたします。

執行部からの答弁

議長:答弁を求めます。総務部長。

総務部長:初めに、財政状況についてのご質問にお答えをいたします。

1点目の東日本大震災を受けての財政状況の変化と、今年度末の基金残高の状況についてでございますが、平成22年度の3月補正から今定例会までに、震災関連経費を全会計で60億3,000万円の予算を計上し、復旧・復興に取り組みますとともに、市税や使用料、手数料、これら 6,000万円以上を減免するなど、被災者支援に当たってきております。このため、議員のご発言にもございましたように、これまでに財政調整基金を20億円取り崩しまして、財源の調整を図っているところでございます。

2点目の基金の状況でございますが、一般財源として活用が可能な財政調整基金で申し上げますと、平成22年度末におきまして、37億 3,000万円の残高がございました。先ほど申し上げましたように、今定例会までで20億円取り崩しをしております。また、3億 5,000万円を積み立てる予算を編成しておりますことから、今年度末の基金残高は、20億 8,000万円となります。しかし、現在、国、県との調整などによりまして、財源の確保に努めているところでございますので、今後、国庫支出金の確定や震災関連の特別交付税の算定、通常分の特別交付税の決定、臨時財政対策債の活用などによりまして、14から15億円程度の財源が見込めますことから、財政調整基金の年度末の残高につきましては、最終的には、35億円程度確保できるものと見込んでございます。

次に、来年度以降の財政状況についてのご質問にお答えをいたします。1点目の市税等の自主財源の状況についてでございますが、平成24年度の市民税につきましては、年少扶養控除等の廃止に伴いまして、9,000万円程度の増収を見込んでおります。しかしながら、固定資産税につきましては、評価替えによりまして、土地家屋の課税標準額が減額となりますことから、1億 5,000万円程度の減収となりますので、市税全体で 6,000万円程度の減額と見込んでおります。また、その後につきましても、生産年齢人口の減少や地価の下落等によりまして、減少傾向は続くものと考えております。

2点目の地方交付税及び国庫支出金の見通しでございますが、本年8月12日に閣議決定されました中期財政フレームによりまして、地方の一般財源につきましては、今後3年間、平成23年度の水準を下回らないよう確保するとされておりますことから、平成24年度から26年度までの税収を含めた一般財源は、おおむね平成23年度と同額程度で推移をしていくものと考えております。しかしながら、本市では、地方交付税の合併算定替が平成27年度から段階的に縮減となります。平成32年度におきましては、平成23年度ベースで算定をしますと、普通交付税と臨時財政対策債を合わせまして、20億 8,000万円が減少することになると考えております。また、国庫支出金につきましては、復興債を除きまして、新規国債発行額を平成23年度当初の水準を上回らないよう努力するとされておりますので、全国ベースでは現在を上回ることはないと考えております。

次に、3点目の基金の状況でございますが、平成27年度から地方交付税が段階的に減額となりますことから、合併特例債を活用しまして、まちづくり振興基金を創設し、財源の確保に努めてまいったところではございますが、第2次定員適正化計画による人件費の削減など、一層の行政改革の推進に努め、現在並みの一般財源が確保される平成24年度から26年度までの間に、財政調整基金や減債基金にできる限り積み増しを行い、基金の確保を図ってまいりたいと考えております。

最後に、4点目の市全体の市債残高についてでございますが、合併直後の平成16年度末におきまして、500億 4,000万円だった残高を、22年度末には435億円まで減らすなど市債の抑制に努めてまいったところでございます。今後につきましても、上水道統合事業などにより一時的に残高が増えるものと思われますが、数年後には減少に転じるものと見込まれますので、引き続き市債の抑制に努めてまいる考えでおります。

以上でございます。

2回目の質問

議長:平山晶邦君。

平山晶邦:ただいまご答弁いただきまして、ありがとうございました。内容等、理解をいたしました。ただ、先ほどの自主財源、6,000万円ぐらい、それは順次減っていくということでございますので、今回の震災で相当な家屋の倒壊だとか、整備しているものも、算定替以外に相当あると思いますので、その辺も十分精査をしていただいて、自主財源の確保等にも努めていただきたいというふうに思います。

私も意見をちょっと申し上げて、質問を終わりたいと思うのですが、先日、東京で若手の経営者と話をする機会がありました。彼は、仲間と話をすると、もう日本の国債は消費税を少しばかり上げたって国債の償還は無理だと。10年以内には徳政令が出るだろうと仲間内で話していますよと言っていました。私は、徳政令はちょっと厳しいかなあと考えますが、果たしてこの日本の財政状況をどのように克服していくかを考えると、常陸太田市においても、行政の無駄遣いは絶対にできないと考えます。そして、将来の常陸太田市の姿を、希望的数字ではなく、実態に即した数字を市民に示して、本市の行政サービスのあるべき事業を、市民と確認しておくことが大切なのではないかと考えています。

12年度の予算編成は、国においても、過去最高の206万人に上る生活保護受給者の増加や年金受給者や、医療費の増大に伴う社会保障の増大は必須でありますし、本市においても、生活保護世帯の増加や、高齢者対策や、少子化対策や、社会保障費の増大や扶助費の増大というのは避けられない状況だと考えます。現在、本市でも来年度の予算編成作業中であると思いますが、やはり「入りを量りて出ずるを制す」と言われておりますが、財政に裏づけされた予算の編成が大切であると考えます。前段で申し上げましたように、欧州の財政危機は日本にも当てはまり、国に大きく依存している常陸太田市の財政にも直結することを再度申し上げ、市民に対し、厳しい財政状況の現状を説明し、市民と共有することも大切であることを申し上げ、私の一般質問を終わります。

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